Getty Images; US Navy; illustration by Business Insider
民主党のテッド・W・リュウ下院議員とエドワード・J・マーキー上院議員が1月24日、トランプ大統領が議会の承認なしに核の発射ボタンを押すことを禁じる法案を提出した。
2人の議員は共同声明の中で、「トランプ大統領が核戦争の引き金を引く力を持ったことで、核の“先制使用”はかつてないほど重要な問題となった」と語り、法案はトランプ大統領の判断力への疑念を表明するものとしている。
「アメリカは今、核戦略の3本柱について無知な最高司令官を持つ恐るべき状況だ。彼は核兵器に関しては“予測不可能”でありたいと発言し、大統領に当選してからも核政策について雑なコメントをツイートしている」として、大統領が核戦略の3本柱を知らないことが露呈した共和党予備選挙での出来事に言及している。
米国大統領は「核のフットボール」と呼ばれる核攻撃の許可を出す装置に24時間365日アクセス可能で、誰の承認もなく核兵器の発射ができる。一方、議会は第2次世界大戦以来、宣戦布告決議を行っていない。
軍備管理協会(Arms Control Association)のダリル・キンボール会長はリュウ議員とマーキー議員の法案提出を讃える声明を出したが、Business Insiderに対し、大統領就任前後であれば支持した法案であろうと答えた。
「これは“メッセージとしての法案”だ。トランプ大統領が外部の政府機関のチェックや承認なしに、10分以内に900もの核兵器を発射できる事実への懸念を人々に伝えるものだ」とキンボール会長は語った。
発射格納庫内のミニットマンIIIミサイル。1989年。
Public Domain
「アメリカが核兵器を所持する基本原則は核攻撃を抑止するためだ。通常攻撃や化学兵器、生物兵器による攻撃への反撃や先制に使用するためのものではない」とキンボール会長は続けた。
法案は単にトランプ大統領が先に発射することへの制限をかけるだけだ。アメリカの核抑止力の要として、報復措置または敵国が核を使用するという確たる情報を得た時、大統領は攻撃を指令することができる。
「この法案が明らかにしたものは、最高司令官は、核兵器を含む壊滅的な攻撃を行えるばかりか、米国軍に壊滅的な報復を招くこともできるというプロセスの非民主的な実態だ」
[原文:Democrats introduce bill to curb Trump's ability to launch a nuclear strike]
(翻訳:十河亜矢子)