トランプ大統領に「『F35』は高すぎる」と批判されたロッキード・マーティン —— 過去最高の四半期決算

F-35B

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Matt Cardy/Getty Images

アメリカの防衛産業大手ロッキード・マーティンは1月24日火曜日(現地時間)、第4四半期決算を発表した。同社にとっては過去最高の売上高、1株当たり純利益、キャッシュフローとなった。

決算報告までの概要は次のとおり

2001年10月26日、ペンタゴンは次世代ステルス戦闘機製造のためロッキード・マーティンと2000億ドル(約22兆7000億円)以上におよぶ契約を交わした。

ペンタゴンの要求はとても高く、それは今ある米軍の第4世代戦闘機の代用機としてだけでなく、複数の同盟国にも使えるような超音速の第5世代戦闘機の開発でもあった。

そのうえ、各々の姉妹部隊の独特な必要性に対応するための3つの異型 ― 空軍用のF-35A、水陸で活動する海兵隊用のF-35B、海軍用のF-35C ― の設計も必要であった。

テキサス州ロッキード・マーティンのF-35 Lightning II 製造施設

テキサス州ロッキード・マーティンのF-35 Lightning II 製造施設

Courtesy of Lockheed Martin

ロッキード・マーティンはすでにF-117A NighthawkとF-22 Raptorのステルス戦闘機を設計したことがあったが、そこに同社の自惚れがあった。

3790億ドル(約43兆円)の価格とされるF-35は、射出座席の欠陥やソフトウェア開発の遅延、ヘルメット表示の問題を含む挫折の積み上げで、国防総省史上もっとも困難な計画の1つとなった。

昨年12月12日、トランプ氏は第5世代戦闘機のコストは「制御不能だ」と発言し、それを引き金に、ロッキード・マーティンの株は取引開始時点で1株251ドル(約2万8500円)であった株価が —— 253ドル強(約2万8700円)まで値を戻す前に —— 245.50ドル(約2万7800円)まで値を下げた。

同様に、12月22日には、ロッキード・マーティンとボーイングのCEOに別々に面会後、トランプ大統領がTwitterを通してボーイングに「F-18 Super Hornetと同価格相当の値をつける」ように依頼したと発表した。

そのTwitterでの発言は、もう一度防衛産業に衝撃を与えた。ロッキード・マーティンが数時間後に株価を247.75ドル(約2万8100円)まで2%値を下げた一方、ボーイングは158.52ドル(約1万8000円)まで07%値を上げた。

ロッキード・マーティンのCEO マリリン・ヒューソン氏

ロッキード・マーティンのCEO マリリン・ヒューソン氏

Mike Segar/Reuters

就任式前にトランプ氏と2回会談したロッキード・マーティンのCEOマリリン・ヒューソン(Marillyn Hewson)氏は、火曜日の決算報告で、F-35はその性能において“比類ない”と語った。

「つまり、F-35は一般的に言って画期的なものです。我々の国と軍隊、ならびに世界中の同盟国にとっては類い稀な、まったく比類ない能力を提供するのです。そして、それを認めたうえで、(トランプ大統領の)焦点は我々がどれだけ積極的にコストを下げられるかにあります」

ヒューソンCEOは、トランプ氏との面談が“とても生産的”だったと付け加えたうえで、防衛産業の巨大企業が将来的にコスト削減をするための施策をいくつも持っていると述べた。

その間、国防総省とロッキード・マーティンは90機のF-35を納入する90億ドル(約1兆200億ドル)規模のLRIP-10(第10期低率初期生産)について交渉を続けていく。

「わたしたちは、目先のLRIP-10を終わらせる合意にとても近づいていおり、その時は間もなくだと期待しています」とヒューソンCEOは言う。

第4四半期決算について

イスラエル初のF-35A Lightning II

イスラエル初のF-35A Lightning II

Lockheed Martin

12月末に終了した四半期において、ロッキード・マーティンは売上高137億5000万ドル(約1兆5600億円)に対して調整後EPS(1株当たり純利益)は3.25ドル(約370円)と、アナリスト予想の売上高130億3000万ドル(約1兆4800億円)、EPS 3.05ドル(約346円)を上回った。純利益は9億5900万ドル(約1089億円)となった(前年同期は8億1700万ドル(約928億円)だった)。

決算発表において、同社 代表取締役 副社長 兼 CFOのブルース・タナ―(Bruce Tanner)氏は「当社は、これまでの営業活動により、過去最高の売上高、1株当たり純利益、キャッシュフローを達成しました」と述べた。

第5世代戦闘機の開発が大きな暗礁に乗り上げたにもかかわらず、F-35の売上増加によってロッキード・マーティンの最大部門である航空事業部の売上高は、2015年同期と比べて23%増加の54億1000万ドル(約6144億円)となった。

その間、同社のRotary and Mission Systems部門はヘリコプター製造会社Sikorskyの売上高追加により37%急増した。ロッキード・マーティンは、UH-60 Black Hawksと大統領専用ヘリの製造で知られるSikorskyを2015年にユナイテッド・テクノロジーズ(United Technologies Corporation)から90億ドル(約1兆221億円)で買収している。

ボーイング、ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)、レイセオン(Raytheon)、ゼネラル・ダイナミクス(General Dynamics)は今週四半期決算を報告することになっている。

[原題:There's no business like the arms business — here's how the Pentagon's top weapon supplier did (LMT)

(翻訳:須藤和俊)

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