EU離脱通知には議会の承認が必要、英最高裁が政府の訴えを却下

ジーナ・ミラー氏

イギリス最高裁判所の判断を受け、声明を発表するジーナ・ミラー氏

Reuters/Stefan Wermuth

  • 最高裁は政府の主張を退ける。EU離脱を通知するには議会承認が必要
  • 最高裁の判事のうち8人が上記の判断を支持、3人が不支持
  • ただし、EU離脱の通知の前にスコットランドなど英国を構成する国と協議をする義務はない
  • デイビッド・デービスEU離脱相は「数日以内に」法案を提出すると下院で答弁
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ロンドン発 —— 英最高裁判所は1月24日火曜日、英国のEU離脱の通知には議会承認が必要との判断を下した。 ニューバーガー最高裁長官は、最高裁判事が8対3で政府の主張を却下し、離脱通知を出すためにはまず最初に議会にかける必要があると述べた。

最高裁の判決の要旨は以下のとおり。

「最高裁判事は8対3で国務大臣の主張を退けた。(ニューバーガー裁判長、ヘイル判事、マンス判事、カー判事、クラーク判事、ウィルソン判事、サンプション判事、ホッジ判事が多数派、リード判事、カーンワス判事、ヒューズ判事が少数派)」

「多数決により、最高裁は英国のEU離脱には議会の承認が必要との判決を決議した。意義を申し立てた判事はそれぞれ異なる判断を示した」

判決文は全文で97ページにおよぶが、最も重要なポイントは38ページの121行にある。

「国民投票の結果を履行するためには国の法令を変えることが求められるが、そのための法案が提出されていない。英国憲法で認められた唯一の方法である議会で制定された法案が必要である」

EU離脱に関する国民投票以来、何カ月にもわたって訴訟が繰り広げられてきたが、この判決でようやく1つの区切りがついた。

ロンドン在住のファンドマネージャー、ジーナ・ミラー氏は昨年8月に、メイ首相が議会からの承認を受けずに離脱通知を行うのは違法であるとして、政府を相手取り裁判を起こした。

ミラー氏と弁護団は、議会に諮ることなく離脱交渉を開始することは、議会によって認められた法律のもとでEUの一員となっている英国民の権利を侵害すると主張。

昨年11月には、英高等裁判所が離脱通知に先駆けて議会で審議されるべきだとして、ミラー氏を支持する判決を出した。政府はそれを不服として最高裁に上告したが、11人の判事による今回の判決で確定した。

デービスEU離脱相は離脱通知の承認を求める法案を「数日内」に国会に提出するとし、その内容は「極めて簡潔なもの」になるだろうと下院で述べた。

あわせて、離脱通知を今年の3月末に行うという当初の計画が、この判決によって変わることはないと示唆した。

最高裁は政府の訴えを退けた一方で、政府が離脱通知に関して、スコットランドや北アイルランドなど自治権限を委譲した政府と協議をする必要はないとした。

政府側の弁護士ジェレミー・ライト氏は、政府は判決に「失望した」が、「判決に従う」ための努力を惜しまず、「必要なすべての措置」を進めていくと述べた。

最大野党である労働党のジェレミー・コービン党首は判決について、国民の意思を尊重し、同党は離脱通知を妨げないが、英国をタックスヘイブンに安売りするために保守党政府がEU離脱を利用しないよう法案の修正を求める考えを示した。

スコットランド民族党(SNP)も議会に提出される法案に「本格的かつ実質的」な修正を求める構えを明らかにした。

この裁判に関しては一般市民の2極化を招いており、EU離脱派は一貫してミラー氏らが離脱を妨害することで国民の意思を貶めていると主張、ミラー氏は脅迫を受け続けている。また、今回の最高裁判決に対し、新聞の見出しには最高裁判事を「人々の敵」と罵る声が氾濫している。

[原文:Supreme Court rules parliament must vote on Article 50 before Britain leaves the EU

(翻訳:十河亜矢子)

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