海兵隊のアリ・J・モハメド伍長
US Marine Corps
アメリカ国防総省が25日水曜日(現地時間)に紹介した元イラク難民の物語は、トランプ大統領がTwitterで自らの政策をアピールすることへの、密かな抵抗なのではないかとの憶測を呼んでいる。
アメリカ海兵隊アリ・J・モハメド(Ali J. Mohammed)伍長がイラクから米国に移住するまでの道のりを語った記事は、23日月曜日に軍関係のウェブサイトに掲載され、水曜日には国防総省の公式Twitterでも紹介された。
このタイミングは、イスラム圏からの移民に対するビザの支給を一時的に禁止すうという大統領の施策への国防総省からの静かなる反乱なのではという見方がある。
The New York Timesによれば、昨年、イスラム圏に駐留した米軍部隊は4000に上る。
23歳のモハメド伍長は第7海兵連隊第3大隊に所属し、反IS対策に従事している。主な役割はアラビア語の通訳だ。
彼のイラクから米国への旅路は2009年に始まった。姉が米軍の通訳として働いていた関係で家族は様々な脅迫にさらされた。当時16歳だった彼は家族とともに米国に移住して英語を習得、家計を支えながら高校に通い、卒業の1年後に海兵隊に志願した。彼に海兵隊入りを決意させた理由のひとつは、姉が働いていた米軍への信頼感だ。
「アメリカは僕の家で、イラクは僕の故郷。今の自分のモチベーションは、自分の故郷から過激派組織を追い出すこと。米海兵隊員の1人としてこの仕事に携われることは、最高にやりがいのある仕事だ」
イラクへの派遣は2度目。1度目は陸軍病院で、英語が離せない患者の処置にあたる医師たちを助けていた。
「彼のような人物が海兵隊員であり、我々のやり方を理解していることはただただ驚きだ」と、彼の上官にあたるライアン・ハント少佐(Maj. Ryan Hunt)は述べている。「彼と一緒に仕事ができることは大きな喜びで、彼のような存在は我々にとって大きな財産だ。とてもポジティブで人として成熟している。23歳という年齢を忘れそうになるくらいだ」
モハメド伍長は、海兵隊特殊作戦司令部「MarSoc」で通訳として働きたいと語った。
(翻訳:日山加奈子)