ソーラールーフを発表するイーロン・マスク氏
Screenshot via Tesla
テスラのCEOイーロン・マスク氏は2016年10月28日金曜日(現地時間)の夜、ロサンゼルスにあるユニバーサルスタジオでソーラールーフを発表した。マスク氏はソーラールーフを積極的に宣伝しており、SolarCityとの合併を問う11月17日の株主投票にむけて「差別化された商品戦略を確立するための根本的な要素」と述べた。
マスク氏が発表したソーラーパネルは、ユニバーサルスタジオ内の郊外の街並みを再現した有名な場所に設置された。プレゼンテーションの中でマスク氏は伝統的なスタイルから、トスカーナ・タイルを使った現代的なスタイルまでさまざまなデザインの屋根を披露した。それらはすべて今まで見たことのないようなガラスソーラーパネルで作られていた。
マスク氏はかねてから屋根のデザインは美しくなければならないと言っており、同氏が披露したデザインはまさにそれを象徴するものだった。ただ、マスク氏が自動車産業に革命を起こし、SpaceXのCEOとして火星移住計画を推進していることを考えると奇妙な印象も受けた。
しかしながら、マスク氏は、この取り組みには価値があると考えている。
「この可愛らしい屋根を見てください」
マスク氏はジョークを言いながら、テスラの新製品を早期から取り入れるであろう郊外の顧客に向け、前例のない提案を行った。
「これが皆さんの求める未来だと願っています」
マスク氏はそう述べ、拍手喝采の中、素晴らしい夜を締めくくった。プレゼンテーションの序盤、同氏は会社のミッションは人類の化石燃料時代からの脱出を加速させ、持続可能なライフスタイルを創造することだと強調した。
「環境問題に取り組み、世界に良い影響をもたらす3つの重要な要素があります。持続可能なエネルギー創出、バッテリー、そして電気自動車です。これらの解決策はすでに別々に存在していますが、これらが組み合わさった時、さらなる力を発揮します」とテスラはウェブサイトで主張している。
伝統的なスタイルの家屋に設置されたソーラールーフ
Screenshot via Tesla
このロサンゼルスのイベントで注目すべきことは、マスク氏がテスラの商品の統合的な導入を強調したことだ。そこには合併が予定されているSolarCityの商品も入っている。テスラの車がガレージにあり、テスラのソーラールーフが屋根に設置され、すべての電力を供給するバッテリーとしてテスラのパワーウォールが設置されていることが理想だ。
ウェブサイトでテスラは以下のように述べている。
テスラとSolarCityのソーラルーフは、美しさと耐久性を備え、どんな家庭や事業者にも再生可能な電力を供給する完璧な屋根です。テスラとSolarCityが共同でソーラールーフのデザインと開発に着手した時、ゴールはこれまでで最も美しく、最もエネルギー効率の高い屋根を作ることでした。ソーラールールは電力コストを削減しつつも、家を美しく見せます。
ソーラールーフは、どのような家の美しさにも馴染むようにデザインされたガラスタイルで作られ、最も効率のよい太陽電池が組み込まれています。さまざまな家のデザインに調和するよう広い範囲でのカスタマイズが可能で、太陽電池は外から見えないように設計されています。お客さまは屋根のどの部分に外から見えないソーラーテクノロジーを導入するか選択することができます。また屋根全体に導入することも可能です。ソーラールーフはシームレスに美しく、再生可能エネルギーを家庭とバッテリーシステムに供給し、また売電によってエネルギーコストを節約します。テスラのパワーウォールと組み合わせれば、ソーラールーフは家庭に必要な電力を100%再生可能なエネルギーで供給することができます。
ソーラールーフは多様な建築様式に対応するため、4つの美しいデザインが用意されています。テクスチャードガラスタイル、スレートガラスタイル、トスカーナガラスタイル、スムーズガラスタイルです
マスク氏は、SolarCityとの合併が成立すれば、テスラとパナソニックはニューヨーク州バッファロー市の工場で太陽電池を生産すると語った。The Buffalo Newsによると、初期の生産はソーラールーフを中心に行われるという。
さらにマスク氏は5500ドル(約55万円)で発売する新バージョンの家庭用蓄電池「パワーウォール2.0」を披露した。最初のバージョンは6.4キロワットの電力を蓄電でき、3500ドル(約35万円)で発売された。
新しいパワーウォールは従来の2倍の蓄電量と2倍の出力を持つ、とテスラ氏は語る。バッテリー容量は14kWh、出力は5kWhで、ピーク時には7kWhの出力が可能になった。わかりやすく言えば、テスラの自動車が年々改善され、航続距離と速度が向上しているように、定期的に改良される蓄電池だ。
テスラは3万8000件の先行予約を獲得し、2016年上半期でパワーウォールは完売した。テスラとパートナー企業は2017年までに本格的な生産を開始するために、約50億ドル(約5000億円)を「ギガファクトリー」と呼ばれる巨大なバッテリー工場へ投資した。ネバダ州に位置するこの工場は2020年までに生産体制を整え、年間50万個のバッテリーを生産できるようになる見込みだ。
新しい実用的なグレードのパワーパックとパワーウォールも発表された。
Screenshot via Tesla
マスク氏は、テスラのブロクで以下のように語る。
「この2つの製品は、合併したテスラとSolarCityが、いかに太陽電池と蓄電池をテスラの電気自動車——世界の持続可能エネルギーへの移行を加速させるという我々のミッションを実現しているもの——と同じぐらい魅力的なものにするかを示している」
テスラとSolarCityの合併話は熱を帯びてきている。テスラは2017年、Model 3の生産増に取り組み、SolarCityのバランスシートを改善するために30億ドル(約3000億円)をつぎ込むことになる。
SolarCityも実りのある1年だったとは言えない。多額のコストを費やし、同社の株価は年初から45%も急落した。また、SolarCityはマーケティングコストを削減し、営業部門の人員を解雇している。
パワーパックは壁面に調和するようデザインされている。
Screenshot via Tesla
[原文:Elon Musk just unveiled Tesla's solar roof and new Tesla Energy products]
(翻訳:井本慶太郎)