2017年1月27日、米国国防総省で大統領令に署名するトランプ大統領
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国家安全保障強化のため難民受け入れを制限するトランプ大統領の動きを議会指導者たちが非難し始めた。
「今夜、自由の女神の頬を涙が伝っている。」と金曜日(1月27日)に語ったのはニューヨーク州選出のチャック・シューマー(Chuck Schumer)上院議員。
「合衆国の建国以来ずっと存在してきた、移民を歓迎するという素晴らしい伝統が踏みにじられてしまった」
下院民主党院内総務ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)氏も似たように述べた。「戦火にまみれたシリアを逃れる母子への現政権の冷淡さを前に、たいまつを高く掲げた自由の女神は目に涙を浮かべている」
イリノイ州選出のディック・ダービン(Dick Durbin)上院議員はこう語る。「わが国の指導者たちの行いを歴史が裁くときが来るだろう。いまだかつてない人道的危機に直面した今、迫害や虐殺、テロリズムから逃れる子どもたちにわが国は背を向けてはならない」
2016年10月31日、ギリシャ・アテネ空港でフィンランド行き特別チャーター便への搭乗を待つシリア人難民の家族
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奇しくも国際ホロコースト記念日当日というタイミングで出された大統領令について、ダービン氏はこう加えた。「ホロコーストが起きたとき、我々は人間としての使命を果たすことに失敗した。根拠のない恐れに操られ、後悔すべき歴史の1章をまた1つ増やすことがあってはならない」
大統領令でも重要なのは、特定してシリア人難民の米国再定住を禁じる部分だ。シリアは2011年より残虐な内戦下にあり、その混乱によって引き起こされた難民危機がヨーロッパ中に影響を与えてきた。
トランプ政権の方針は合衆国の基本原則の対極であると批判されてきた。合衆国憲法を支持する難民のみを受け入れるという大統領令に対し、決定的な確認は不可能だと指摘する声もある。
大統領令の執行が発表されると、抗議デモが各地で始まった。
(翻訳:近松瑛真)