空母アドミラル・クズネツォフから離陸態勢に入るスホイ33
Russian MoD
(編集部注:この記事の内容は執筆時点のものです)
ロシア唯一の航空母艦アドミラル・クズネツォフ(Admiral Kuznetsov)は、シリアへの同艦初の戦闘配備を鳴り物入りで開始した。しかし軍事情報誌『IHS Jane’s』によれば、ロシアはこの空母からの攻撃をついに諦めた。
同誌が入手した衛星写真には、スホイ33(Su-33)と先日クズネツォフに配備されたミグ29KR(MiG-29KR)が映っている。これらの「艦上」戦闘機は現在、シリアのフメイミム空軍基地(Hmeymim air base)でロシア空軍の陸上機と一緒に並べられている。
IHS Jane’sによれば、空母クズネツォフはもともと信頼性に問題があったが、11月、ミグが着艦時に事故を起こした。後続機のパイロットは空母の着陸装置が壊れたため、緊急脱出を行った。
アドミラル・クズネツォフより離陸するミグ29KR
Mikoyan Gurevich
軍事アナリストらはこの空母の配備について、ロシアはすでに大量の航空機をシリアに展開しているので、戦闘に与える影響はないと推測していた。加えて、地中海に配備したロシア海軍艦から発射される巡航ミサイルは、ロシア空軍がシリア上空に圧倒的な制空権を確保し、思い通りに爆弾を投下できるため、安価な無誘導の通常爆弾に比べて大きな利点がない。
ロシア国防省はクズネツォフが戦闘に加わっていた2週間ぐらいの間に、高品質な映像をなんとか数本完成させた。この映像制作は以前、The US Naval Instituteのニュースが「この空母の配備はPRであり、実践的なものではない」と伝えたとおりの出来事だ。
2012年、アドミラル・クズネツォフから発艦するスホイ33
Russian MoD Photo
[原文:Russia has just given up on trying to launch strikes from its rickety aircraft carrier]
(翻訳:小池祐里佳)