「ジャストインタイム生産方式」をイーロン・マスクが嫌いな理由

イーロン・マスク氏

古いビジネスモデルにチャレンジするイーロン・マスク氏。

Kevork Djansezian/Getty Images

数週間後に株主投票を控えたテスラとソーラーシティは、合併後の価値、つまり 「シナジー」を売り込んでいる。

自動車メーカーと太陽光発電会社の合併は、一見、理解しがたいが(個人的にはまったく理解できないわけではないが)、テスラCEOのイーロン・マスク氏は、テスラと一緒に拡大させようとしているビジネスアイデアに倍賭けしている。

これは垂直統合と呼ばれるもので、多くの現代的な製造業者たちが数十年間避けてきたことだ。

テスラの最近のブログには、以下のように書かれている。

テスラとソーラーシティは、ワンストップでクリーンエネルギー商品を供給し得る、垂直統合された持続可能なエネルギー会社を作り出すための非常に大きな機会を得た。両社の強みを活用すれば、ユーザーはエネルギーを効率よく、持続可能な方法で作り出し、使うことができるようになる。ソーラーシティの既存の太陽光発電システムとソーラールーフ、パワーウォール2は、統合されたシステムのメリットを最大限に発揮する。またテスラの電気自動車(モデルS、モデルX、モデル3)は、コストを削減し、かつ化石燃料と電力会社への依存を最小限にする。

垂直統合はテスラにとって、時代遅れなやり方だ。モデルXのデザインと製造に不具合があったものの、マスク氏と彼のチームはサプライチェーンと共存している。一時期、テスラはシートのサプライヤーに不満を持ち、シートのデザインと製造を社内で行ったことがある。

リーン生産方式だけが答ではない

大手の自動車メーカーは垂直統合を避けるために、あらゆる手を尽くした。30年の間 「リーン生産方式」や「ジャストインタイム生産方式」が彼らの目標だった。日本の自動車メーカーが取り組み、世界中のメーカーが後を追った。部品は必要な時に世界中の工場で作られ、在庫コストを抑えられる。市場の変化にも素早く対応できる。

マスク氏はそういうやり方はしたくなかった。いつの間にか彼は、世界でもっとも有名な垂直統合の推進者になった。商品のあらゆる面に口を出したいと考えるCEOには、この古いスタイルは魅力的だ。

テスラがソーラーシティを買収した理由が、ただ太陽光発電を手に入れたいからではない、というのは特筆に値する。マスク氏はテスラとソーラーシティを、ソーラーパネルで発電し、家に備え付けられた蓄電池で充電できる電気自動車の販売という、1つのエコシステムとして捉えている。

1970年代から製造業を見てきた人なら、これをムチャなアイデアと結論づけるだろう。しかし、マスク氏は垂直統合の新しい形を作るという野心を持っている。

ただし、なぜテスラが今年製造予定だった台数を達成できないのかを理解したければ(今年の不足分は1万台にのぼる)、地球上のほぼすべての自動車メーカーと正反対の方向へ向かっているマスク氏の関心事に注目することだ。

[原文:Elon Musk may single-handedly revive a business practice that's gone out of style

(翻訳:日山加奈子)

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