ハーバード大学学長のドリュー・ファウスト氏
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ハーバード大学のドリュー・ファウスト(Drew Faust)学長は29日日曜日(現地時間)、ハーバード関係者への電子メールの中で、イスラム圏からの入国を禁止した大統領令を批判したと学生新聞ハーバードクリムゾンが報じた。
「ハーバード大学の学部長の約半数がインド、中国、北アイルランド、ジャマイカやイランからの移民だ。世界中の国から来た人々の才能と活力、知識とアイデアを吸収し得ることは、当校の重要な目的であるのみならず、過去から現在の長きにわたり、この国にとって重要事項であり続けている」とファウスト学長は、トランプ政権、国会や司法制度に、この大統領令を再考するよう強く求めた。
ファウスト学長の発言はイスラム圏7カ国からの米国入国を90日間禁止する大統領令に対して発せられたものだ。この大統領令に反対する人々は、この一時的な措置が永続的なものになりはしないかと恐れている。ハーバード クリムゾンによれば2人の関係者がすでに米国入国を阻まれた。
ボストングローブによるとそのうちの1人は、ハーバードの医学大学院研究室で結核の研究を始める予定だったサミラ・アスガリ(Samira Asgari)氏のようだ。
イラン人のアスガリ氏は、ドイツのフランクフルトで飛行機に搭乗しようとしたところを拒否された。
スカイプによるボストングローブとのインタビューの中でアスガリ氏は「彼らは私を数メートル離れたところに連れて行き、パスポートを取りあげて、『このビザは有効ではない』と言った。私は反論したが、『それが問題ではない』と言われ、『家に帰りなさい』と言われた」
約200名のハーバード大学教授が大統領令に反対する嘆願書に署名した。「Academics Against Immigration Executive Order(入国禁止の大統領令に反対する学者の会)」と呼ばれる嘆願書は、ハーバード大学以外からも国中の大学教授たち7000名が名を連ねた。ハーバード大学内で署名した人物の中にはノーベル賞受賞者のダドリー・ハーシュバック氏やエリック・マスキン氏の名前もある。
[原題:Harvard president hits back at Trump's immigration ban: 'Nearly half of the deans of Harvard's]
(翻訳:日山加奈子)