米軍のM1A2エイブラムス戦車
Army photo by Staff Sgt. Micah VanDyke
2017年年1月、3500人と2700の重火器を擁する米陸軍部隊がポーランドに派遣された。同国への過去最大の部隊派遣だ。
目的は明確。ポーランド軍と連携して、あらゆる面でロシアの脅威に対抗する。
「ロシアの侵略行為は様々な形をとる」と、ベン・ホッジス米欧州軍司令官はNBCニュースに語った。
「ロシア軍によるサイバー攻撃、情報操作、他国への脅迫、突発的軍事演習を我々は真剣に受け止めている。今回の派遣は単なる訓練ではない。NATO(北大西洋条約機構)諸国の主権を侵すことはできないという戦略的メッセージを送るためだ。モスクワはこの意味を理解するだろう。確信している」
米・ポーランドの両軍は、すぐさま戦車、大砲、ヘリコプターを使った合同演習を始め、その力を見せつけた。
また、リトアニアに駐留中の米軍も同じような演習を展開した。エストニア、ラトビア、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーにも、部隊が順次配備される予定だ。
しかし、バルト海周辺の、脆弱なNATO加盟国に対する米軍の展開は、ロシア軍の長期にわたる増強に遅れをとっている。歴代の米軍司令官は、ロシアからの直接攻撃を抑止したり阻止する能力がNATOにあるかどうかは疑わしいとの懸念を表明してきた。シンクタンクRAND Corpの報告書によると、ロシアは36時間以内にバルト諸国を制圧することが可能だ。
さらに、世界中の専門家は、ロシア軍はサイバー攻撃や情報操作などによって東欧のNATO加盟国を攻撃してくる可能性があると考えている。
加えて、トランプ大統領がNATOを無力で時代遅れと批判したことで、万一の際に、米国はNATOを助けてくれるかどうかわからないという疑心を欧州各国の首脳たちに植え付けた。
現在のところ、米軍はヨーロッパ諸国の同盟軍とともに訓練し、寝食をともにしている。つまりロシア軍がバルト海周辺のNATO加盟国にいかなる攻撃をしかけてきた場合も、米軍は即座に反撃することを意味する。
[原題:‘Moscow will get the message’: US flexes muscles with largest ever deployment to Poland]
(翻訳:日山加奈子)