Abbas Almutwkel via YouTube
30日月曜日(現地時間)に、イエメンの海岸沖でサウジアラビアの駆逐艦が爆発する様子を撮影した映像が公開された。
当初イラン国営メディアは、駆逐艦は対艦ミサイルによる攻撃を受けたと報道し、昨年10月にアラブ首長国連邦の船1隻と、複数の米海軍船に向けて、同国から援助を受けているイエメンのフーシ派が発射したものと同じ種類のミサイルであったとした。
その後、この爆発は、ボートによる自爆テロ攻撃だった、あるいは爆弾を積んだ小さな船によるものだったとサウジアラビア国営メディアが報道し、サウジアラビア人の船員2人が死亡したと伝えた。
声明によれば、サウジアラビア空軍が生き残ったフーシ派民兵を追い、攻撃を受けた駆逐艦はその間もそのままパトロールを続けた。
The Foundation for Defense of Democracies(民主主義防御のための財団)のイラン専門家べーナム・ベン・タレブー(Behnam Ben Taleblu)氏がイランから伝えたところによると、イエメンにおいてフーシ派民兵を支援しているイランの話は、イランの宿敵サウジアラビアと同様、まともに聞かない方がいいだろうとのことだ。
「イランは明らかにフーシ派の戦闘能力を実際よりも高く見せようとしている」とタレブー氏は語る。昨年10月にフーシ派は、アラブ首長国連邦の船舶に対艦ミサイルを撃ち込み、高度な戦闘能力を示して、専門家を驚かせた。
10月の攻撃は、フーシ派にとっても、その支援者であるイランにとっても、宣伝的な意味合いが大きい。今回の攻撃も同じような効果を狙ったフシがある。
イランの高速艇
Fars News Agency Photo via USNI News
サウジアラビアはサウジアラビアで、同じ件に関して、自分たちのバージョンを披露せずにはいられない事情がある。「通常サウジはフーシ派の戦闘能力を、すべてイラン頼みのものとして伝えようとする」とタレブー氏。
今回の件では、フーシ派がミサイル攻撃ではなく、小さな舶による自爆テロを行ったと報道することで、サウジはイランとは逆に、フーシ派の戦闘能力を実際よりも小さく思わせようとしている。自爆テロは、対艦ミサイルと同じようなダメージを与えることができるが、方法としては原始的だ。
「自爆テロのボートを送り込んできたのなら、軍事的に見るべきものはなにもない」
銃を構える少女。後ろはフーシ派組織への忠誠を示す女性たち。
Khaled Abdullah/Reuters
低クオリティのビデオ映像も、イランとサウジ間の報道の食い違いを拡大させた。
タレブー氏は、サウジアラビアの報道がより事実に近いと語る。「サウジの報道の方が正しいような気がしている。イランはフーシ派の戦闘能力を誇張したいとする意図が強すぎる」と結論づけた。
[原題:Iran may have bluffed about its ally’s attack on a Saudi Arabian navy ship]
(翻訳:日山加奈子)