トランプ大統領にとって最初の1週間は波乱含みだった。イスラム圏7カ国の一時的な入国制限は、多くのシリコンバレーの企業から大きな批判を浴びた(もちろん、今でも)。選挙キャンペーン中から恐れられていた事態がほぼ即座に現実となった。
溝は深まるばかりだ。30日(現地時間)のBloombergの報道によると、次なる大統領令はIT企業が数千人の従業員を雇用するために毎年頻繁に利用している就労ビザ(H-1Bビザ)の改正になる。この動きは、非移民系アメリカ人労働者の優先的な雇用を強制するもので、トランプ大統領のナショナリスト的な強行路線政策の1つとなる。
Business Insiderで以前報じたように、大統領自身はこの問題について考え方をコロコロ変えているが、彼の側近で司法長官に指名されたアラバマ州選出のジェフ・セッション上院議員は、H-1Bビザに対して以前から批判的だ。彼らH-1Bビザ反対派は、IT企業がこのビザを乱用して、人件費を抑えるために外国人労働者を雇っていると主張している。
ただ、Statistaの図が示すように、H-1Bビザを利用する大手IT企業は、外国人労働者を低賃金で雇用しているとは言い切れない。トラッキングサイトMyVisaJobs.comによると、AppleやGoogle、Facebook、IBMはこのビザを持つ労働者に対する求人がもっとも多い企業の30位までに入っている。この事実は、IT企業がいかにH1-Bビザに依存しているかを表している。そして、こうした企業で働くH1-Bビザ労働者の平均年収の多くが10万ドルを超えていることは、企業が技術力の低い労働者を雇用すべくビザを悪用しているという批判を覆しそうだ。
これらはH1-Bビザを利用する大手企業のみに言えることだ。最大の利用者は、InfosysやTata、Wiproといった今もインドを拠点としたIT企業で、彼らのビザ取得者の雇用のあり方は一般的にそれほどの高収入をもたらすものではない。一部のビザを持った労働者の仕事は必ずしも順当なものとは言えない。
Statista
[原文:Trump’s next immigration order could hit tech companies where it hurts](翻訳:Satoru Sasozaki)