Apple、Google、Facebook、Uberが入国禁止令の見直しを文書で訴える

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トランプ大統領、ピーター・ティール氏、ティム・クック氏

Getty/ Drew Angerer

シリコンバレーの複数の大手IT企業がトランプ大統領の入国禁止令見直しを訴える文書を作成した。IT系ウェブメディアRecodeが伝えた

文書はApple、Google、Facebook、Uberが共同で作成した。文書の中では「ブランケット・サスペンション(全面的な入国禁止)は正しいやり方ではない」との訴えが繰り返されている。

文書がいつ大統領に提出されるかは明らかではない。

トランプ大統領は先週27日金曜日、イスラム圏7カ国からの入国を禁止する大統領令にサインした。移民に支えられているシリコンバレーのIT企業は大統領令に公(おおやけ)に反対している。また、有名IT企業のCEOたちは、大統領令への反対を公私ともに発信してきた。

「Appleは移民なしには存在しえなかった。(入国禁止の)大統領令は我々が支持する政策ではない」とAppleのCEO ティム・クック氏は先週、従業員に送ったメールの中で記している

FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏も同じくこの政策に反対していることを、長文のポストで表明した。「みなさんの多くが思っているように、わたしも先日の大統領令の影響を心配している」と述べた。

ザッカーバーグ氏は、「我々はこの国の安全を保つ必要があるが、規制の対象は実際に脅威をもたらす可能性のある人に絞るべきだ。可能性のない人にまで対象を拡大してしまうと、公式に住民登録されていない何百万もの人々が危険でないにもかかわらず強制送還の恐怖に怯えることになる。それは、すべてのアメリカ人を安全から遠ざける結果になる」と続けた。

入国禁止例の影響を和らげためには、シリコンバレーは出費をいとわないだろう。

Googleは米国外にとどまることを余儀なくされた従業員を援助するべく、400万ドル(約4億5000万円)の基金を立ち上げた。Uberはドライバーを守るために300万ドル(約3億4000万円)を準備している。

GoogleのCEO サンダー・ピチャイ氏は、「この大統領令はGoogleの社員とその家族に規制を課すことになる。素晴らしい才能がアメリカに来ることに『壁』を作るような政策になるのでは、と懸念している。我々は、政府関係者に粘り強く(我々の)考えを伝え続ける」とUSA Todayに述べた。

ピチャイ氏によると、この大統領令によって少なくとも187名のGoogle社員が影響を受ける。

Recodeがリークした文書

トランプ大統領へ

この国が誕生してから、米国は常に機会の国でした。新しく来た人々を歓迎し、この国で家族を持ったり、キャリアやビジネスを築くチャンスを与えてきました。我々が強い国でいられるのは移民たちのおかげです。起業家として、ビジネスリーダーとして、我々が会社を成長させ雇用を生み出せるかどうかは、様々なバックグラウンドを持った移民たちの力にかかっています。

移民システムは今日求められる基準を満たし、この国を安全に保つものでなければならないとするあなたの目標を我々は理解しています。しかし、今回の大統領令によって、米国で一生懸命働き、この国の成功に貢献しているビザ保有者に影響を与えることを懸念しています。世界中から優秀で有望な人材を引きつける国であり続けることはグローバル経済の中で極めて重要です。国土安全保障省が大統領令を実行するに際しての変更を我々は喜んで受け入れます。また政権が、我々の従業員が予定通りに渡米できるような方法を見つけられるよう、支援する準備もあります。

この国を素晴らしい国にしているのはわたしたちが持つ助け合いの精神です。米国難民受け入れプログラムのもと、ブランケット・サスペンション(全面的な入国禁止)ではない方法で、入国者を徹底的にスクリーニングできる方法をともに作り出すことを約束します。安全と審査手続きは、常に見直しと改善が必要ですが、ブランケット・サスペンションは正しいやり方ではありません。

同様に、Deferred Action for Childhood Arrivals(DACA)プログラム(幼少期に渡米した子どもに対しての猶予措置)の保護下にある75万人の希望に満ちた子どもたちの未来について、「幸せと誇りを持って生活できるようにする」ために、明確なルールを導入するという目標への支援も準備ができています。この保護措置を停止してしまうと、子どもたちは強制送還に怯えながら働き、暮らすことになります。

ビジネス界は米国経済を成長させ、国全体の雇用を拡大するというあなたの公約を理解しています。わたしたちは何千もの米国人と、会社の成長と雇用の拡大に貢献してくれる海外からの優秀な人材を一部雇用しています。大統領が複雑で相互に関連しあった移民政策の変更を熟考される際は、ビジネス、雇用ビザ、難民、あるいはDACAであろうと、米国のビジネスと価値観を反映した移民政策を実現するリソースとしてわたしたちを活用していただけることを願っています。

[原文:Silicon Valley tech giants are writing a letter to Trump: 'A blanket suspension is not the right approach'(AAPL, GOOG, FB)

(翻訳:Satoru Sasozaki)

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