アカデミー作品賞歴代ワースト10、あるいはその年受賞すべきだった作品

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『アルゴ』

Warner Brothers

アカデミー作品賞を受賞するということは「その年の最高峰である」とハリウッド業界関係者に認められるだけではなく、『ゴッドファザー』『アラビアのロレンス』『波止場』など、名作として評価され続けている過去の受賞作品と同じようなステータスを築くことにもなる。

しかし、アカデミー賞選考委員がいつも正しいわけではない。時代によって忘れ去られ、二度と名前を聞かないアカデミー作品賞受賞作品がこの88年の歴史の中にはたくさん埋もれている。それらの作品は結局、当初思っていたほどには素晴らしくなかったのだ。

映画評論家のお気に入り『ラ・ラ・ランド』や『ムーンライト』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を含む2017年作品賞ノミネート9作品の、どの作品が我々の記憶に残るかを議論するのは時期尚早だが、とりあえず、2月26日のアカデミー賞授賞式(日本では27日)で過去のあやまちが繰り返されないことを祈ろう。

では、もっとも期待外れの歴代アカデミー作品賞映画ワースト10と、受賞すべきだったノミネート作品を振り返ってみよう。

*参考:アカデミー作品賞(Wikipedia)

10. 『八十日間世界一周』(1956年)

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United Artists

ジュール・ヴェルヌの小説が原作。この映画の製作にハリウッド業界のすべての資源(1950年代では巨額とも言える、600万ドル:約6億7500万円の予算)を投入して壮大な世界を描写したが、大金持ちの紳士フィリアス・フォッグ(デヴィッド・ニーヴン)が世界を一周して賭けに勝利しようとする姿は馬鹿げていて、まったく記憶に残らない。

1956年に受賞すべきだった作品:『十戒』

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Paramount Pictures

セシル・B・デミルの最後の作品は、 今日でも名作として評価されている。スター俳優の出演、特にモーセ役のチャールストン・ヘストンの素晴らしい演技力(彼はこの役でオスカーのノミネートすらされず)と、その当時では卓越した映像効果が素晴らしい。

9. 『普通の人々』 (1980年)

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Paramount Pictures

1970年代後半から1980年代前半はメロドラマの絶頂期だった。『普通の人々』は、その意味で、完璧なタイミングで世に出たと言える。この映画は作品賞を受賞しただけでなく、ロバート・レッドフォードが監督賞を、ティモシー・ハットンが助演男優賞を受賞した。確かに、この作品の“爆発的なパフォーマンス”は認めざるをえないが、作品賞を受賞するには、素晴らしい演技以上のものが必要なのでは?

1980年に受賞すべきだった作品:『レイジング・ブル』

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United Artists

(おそらくマーティン・スコセッシの最高傑作と考えられる)この作品では、ロバート・デ・ニーロの信じられないような演技力により、ミドル級ボクサー ジェイク・ラモッタの狂気が描き尽くされている。撮影、(ポール・シュレイダーによる戦慄すべき)脚本、そして(セルマ・スクーンメイカーによる)編集(この作品で彼女とスコセッシは初めて一緒に仕事をした彼女はこの作品以降、スコセッシ作品の製作に携わっている)はまったくもって的を射ていて、なぜ作品賞を受賞できなかったのか理解不能。

8. 『タイタニック』(1997年)

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Courtesy of Paramount Pictures and 20th Century Fox

ジェームズ・キャメロン監督による「沈没する船上でのラブストーリー」。興行的に大成功を収め、レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットをスーパースターに押し上げた。しかし、そもそもこの作品はオスカーに値するのか? 選考委員が一般大衆の気に入った作品を選んだ稀なケースだったと考えられる。他にもっと作品賞に値する作品があったのでは。

1997年に受賞すべきだった作品:『L.A. コンフィデンシャル』

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Warner Bros.

ロサンゼルス市警の腐敗を描いたジェイムズ・エルロイの小説をカーティス・ハンソンが脚色したこの作品は、現代の犯罪映画では最高傑作の1つ。ケヴィン・スペイシーとラッセル・クロウ、ガイ・ピアースが、それぞれの役を見事に演じ、この複雑な群像劇を多角的な視点で描くことに貢献している。『タイタニック』よりも多くのサスペンスを盛り込み、見る人を引きつけるドラマに仕上がった。

7. 『英国王のスピーチ』 (2010年)

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The Weinstein Company

コリン・ファース(主演男優賞を受賞)とジェフリー・ラッシュはこの映画の中では素晴らしい演技をしているが、ジョージ6世(コリン・ファース)が苦悩している光景以外に見るべき場面はない。

2010年に受賞すべきだった作品:『ソーシャル・ネットワーク』

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Sony Pictures

選考委員による、若年層への偏見の絶好の例である。多くの選考委員は、Facebookの誕生よりも1930年代後半の映画撮影セットを理解できるメンバーなのだ。 デヴィッド・フィンチャー によるマーク・ザッカーバーグの立身出世を描いたこの作品は、高齢の選考委員には、何が描かれているのか、さっぱりわからなかっただろう。

6.『シカゴ』(2002年)

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Miramax

2000年代はじめ、ミュージカル映画ブームが急にやってきた。『シカゴ』は作品賞を含むオスカー6部門を受賞。この10年間にこの映画を思い出すことなんてあった?

2002年に受賞すべきだった作品:『戦場のピアニスト』

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Focus Features

受賞すべきだった作品はこれ。第二次世界大戦下のワルシャワのゲットーを生き延びた不屈のユダヤ人音楽家が主人公である。ロマン・ポランスキー自身、監督賞を(彼の個人的な問題にもかかわらず)、同様に主演のエイドリアン・ブロディは主演男優賞をそれぞれ受賞しているが、選考委員は最終ラウンドでこの感動的な作品よりも、もっとアップテンポな作品に票を入れた。

5. 『アルゴ』 (2012年)

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Warner Bros.

舞台は1980年代テヘラン。架空のハリウッド映画製作をでっち上げて、6人のアメリカ人を救出した実話をもとにしている。ベン・アフレックが監督および主演した。簡単に理解できるストーリー展開であり、平均的なドラマ。この映画は良くても平均以下の出来だ。

2012年に受賞すべきだった作品:『ゼロ・ダーク・サーティ』

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Sony / Columbia Pictures

選考委員が評価すべきだったのは、キャスリン・ビグロー監督のこの作品。アメリカはどのようにウサーマ・ビン・ラーディンを追い詰めたのか? もちろん両作品(『アルゴ』『ゼロ・ダーク・サーティ』)とも、実際の出来事の描写部分に関しては異議を唱えることもできるが、この作品の方がワンランク上の次元で作られていることがわかる。

4. 『ダンス・ウィズ・ウルブス』(1990年)

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Orion

ケビン・コスナーが監督および主演を務めた。南北戦争中の辺境の前哨基地で、1人の兵士が先住民と親交を深める映画。当初は好意的な評価を得たが、先住民団体の多くが、彼らの文化の描写が不正確であると指摘し始めた。作品賞にはよりふさわしいと多くの人々が感じた作品があった。

1990年に受賞すべきだった作品:『グッドフェローズ』

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Warner Bros.

スコセッシは『グッドフェローズ』でまたもや、期待を裏切られた。彼の人気作品の1つで、この映画は作品賞だけでなく監督賞も受賞するのでは、と思われていたが、その晩は、ケビン・コスナーのものだった。

3. 『クラッシュ』 (2005年)

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Lionsgate

ロサンゼルス市民の複雑に絡み合った人間関係を描写した群像劇。この映画には興味深い“背景”がある。ゴールデングローブ賞にノミネートされなかった数少ないオスカー受賞作品なのだ。映画評論家の評価は、真っ二つに割れた。2000年代前半で最悪の作品という者もいれば、映画評論家ロジャー・イーバードなどは、2005年で最高の作品と評した。しかし、受賞への反感は選考委員が他のノミネート作品をどう感じたかにも関係があるかもしれない。

2005年に受賞すべきだった作品:『ブロークバック・マウンテン』

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Focus Features

『ブロークバック・マウンテン』のテーマが2人のカウボーイ(ジェイク・ギレンホールとヒース・レジャー)の秘密の恋愛関係を描写したものだったため、選考委員の不評を買い、『クラッシュ』に賞を譲る形になったと信じる人もいる。ただ。もし、それが原因だとしたらアン・リーに監督賞を授与するとは考えにくい。何であれ、作品賞を受賞しなかったからと言ってこの作品の価値が下がることはない。

2. 『我が谷は緑なりき』 (1941年)

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20th Century Fox

ジョン・フォード監督作品。時代の変わり目に生きる炭鉱夫の家族をテーマにした物語。オスカーを受賞するための定番パターンのようであるが、他のノミネート作品を見てみると……。

1941年に受賞すべきだった作品:『市民ケーン』

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RKO Pictures

映画史上、最高とは言わないまでも、「最高と評されている」作品の1つであるこの作品。公開時に大ヒットした。オーソン・ウェルズによる新聞王の描写はそれまでの映画の“ルール”を打ち破るものであり、結果的に、ウェルズを天才であると証明することになった。この時、彼は30歳にもなっていなかった。この作品の唯一の問題は、まだ健在だったウィリアム・ランドロルフ・ハーストをモデルに映画が製作されたこと。ウィリアムはこの映画をまったく気に入らなかった。彼にはハリウッドに多くの友人がいた。

1. 『恋に落ちたシェイクスピア』(1998年)

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Miramax

若きウィリアム・シェイクスピアは、いかにして「ロミオとジュリエット」を書いたのか? このフィクション映画は金曜の夜に見るには楽しいが、作品賞のカテゴリーに入れるには、ばかばかしく思える。まあ、受賞したけどね。そして、この映画がうち負かした作品が、あの作品だとは、誰も信じられないだろう。

1998年に受賞すべきだった作品:『プライベート・ライアン』

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DreamWorks

スティーブン・スピルバーグはこの作品で、第二次世界大戦の恐怖を圧倒的な力量で描写した。史上最高の戦争映画の1つとして歴史に名を刻む。しかし、オスカーの最高峰である作品賞は受賞しなかった。おそらく、『恋に落ちたシェイクスピア』よりも『プライベート・ライアン』の方が何十倍も思い出されるシーンがあるのではないか。そういうことが優れた作品の証拠だ。オスカーを受賞した作品が優れているわけではない。

source:United ArtistsParamount Pictures20th Century FoxWarnerBros.The Weinstein CompanySony PicturesMiramaxFocus FeaturesSony PicturesOrion CinemaLionsgateRKO PicturesDreamWorks Pictures

[原文:RANKED: The 10 worst movies to win the best picture Oscar — and what should have won

(翻訳:Conyac

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