Business Insider シニア・エディターHarrisonの仕事のルール —— 今、インタビューしたいのは「宮﨑駿」

2017年1月9日火曜日、Business Insderのシニア・エディター、ハリソン・ジェイコブズ(Harrison Jacobsが東京・渋谷にあるメディアジーンにやって来た。目的はBUSINESS INSIDER JAPANのローンチをサポートするため。2週間に渡って、日本の編集スタッフにニュースサイト運営のノウハウを講義してくれた。

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ようこそ。ここがメディアジーンのオフィスです。

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BUSINESS INSIDERのロゴ。メディアジーンはLifehackerやDIGIDAYの日本版も運営しています。

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オフィス内はこんな感じ。渋谷が一望できますよ。

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BUSINESS INSIDER JAPANの編集者たち。打ち合わせ中です。

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Business Insiderのシニア・エディター、ハリソン・ジェイコブズです。

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この日のプレゼンテーマはビデオ編集について。

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あるいは、ソーシャルメディアについて。

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ニューサイト運営のノウハウ。

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ハリソンのプレゼンは続きます。

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お疲れさま。また、明日。


名前:ハリソン・ジェイコブズ(Harrison Jacobs)

住所:アメリカ合衆国 ニューヨーク州 マンハッタン

職業:Business Insider シニア・エディター


BUSINESS INSIDER JAPAN(以下BIJ):こんにちは、ハリソン。実はきみのことをBUSINESS INSIDER JAPANで記事にしたいと思っています。いくつか質問してもいいかな。まずは、きみの「仕事への姿勢」をもっともよく表す言葉を教えてくれる?

ハリソン:喜んで! 最初の質問ですが、うーん、「几帳面」……、ですかね。

BIJ:なるほど。確かに几帳面かもね。僕たちはSlackでミーティングの時間やアジェンダの調整をしてたけど、そういえば、かなり細かいことを事前に決めていたね。しかも、サクサクと。結果的に全部スケジュールどおりに終わったしね。ところで、スマホは何を使ってるの?

ハリソン:「iPhone 6S」です。

BIJ:PCは?

ハリソン:「MacBook Pro Retina」。

BIJ:2017年1月の始めから日本にいるよね。今回はなんで東京に?

ハリソン:BUSINESS INSIDER JAPANのローンチをサポートするためです。ニューヨークオフィスで培ったノウハウを日本のチームに教えに来たんです。もちろん、知っていると思いますが、だって、ずーっとミーティングしてますもんね。

BIJ:まあね。東京滞在中はどこに行ってたの? つまり、土日とか、仕事が終わった後とか。

ハリソン:近所を散策して、興味深い人や場所を写真に撮るのが好きなんです。上野や原宿、渋谷、“谷根千”、六本木に行きました。


BIJ:そう言えば、どこに泊まってるんだっけ?

ハリソン:メディアジーンの近くのマンションです。Airbnbで予約しました(*メディアジーンのオフィスは京王井の頭線 神泉駅の目の前にあります)。

BIJ:日頃よく使っているアプリとかソフト、道具ってある? 仕事に関係してなくてもいいよ。

ハリソン:あんまり大きな声で言いたくないんですけど、やっぱり「Twitter」を一番使ってますね。四六時中ツイートを読んでます。興味深い情報とかニュース、ストーリー、笑える人たちのジョークがタイムラインに延々と流れてくるじゃないですか。ついつい見ちゃいますね。

「FourSquare」もレストランやカフェを探す時によく使います。でも、東京には「FourSquare」ユーザーがあまりいないもんですから、あんまり役に立たなかったな。

そうだ。今回、東京に来る時は「Couchsurfing(カウチサーフィン)」で他の旅行者を探しました。外国出張って寂しいじゃないですか。このアプリは外国で新しい友だちを作るにはぴったりのツールだと思います。

あと、仕事柄、写真もよく撮るので、一眼レフカメラやiPhoneのカメラで撮った写真を現像・レタッチできるソフトやiPhoneのカメラ機能を拡張できるようなアプリをたくさん使ってます。「Adobe Photoshop」「Adobe Lightroom」「Google Photos」「Manual(*)」とかですね。

*[参考記事]「iOS 8時代の万能カメラアプリ『Manual』なら、簡単かつ直感的にカメラの設定ができる(ライフハッカー[日本版])」

それと……、僕はBusiness Insiderのシニア・エディターとして、いつでもどこでも仕事に取りかかれるようにしているんですが、その意味では「Slack」「Inbox」「Fantastical」「Google Drive」は欠かせないですね。

あと、そうだな……、毎日、ニュースや本、雑誌をたくさん読むので「Instapaper(ネットの記事を保存するため)」「The New Yorker app(一番好きな雑誌!)」「Amazon Kindle(通勤中の読書用)」も手放せないです。

BIJ:そうか。いろいろなツールを使ってるんだね。そうだ、ニューヨークのオフィスってどんな感じ? ああ、いや、オフィス自体には何回か行ったことがあるけど、ハリソンのデスクは見たことがないじゃない。どんな風に仕事してるの?

ハリソン:ニューヨークのオフィスでは「MacBook Pro」に外付けのモニターとキーボード、マウスをつけて仕事をしています。ヨガ・チェアーがあるんですけど、それがすごくいいんですよ! 姿勢を正してくれますからね。あと、「ノートパッド」と「万年筆」をいつも机の上に置いてます。僕は紙をよく使うんです。メモ、記事の初稿など。そう、初稿を紙に書いたりします。だから、筆記用具はいつも手元に置いてるんです。


BIJ:なるほどね。質問が飛んでごめん。できるだけ時間を節約するとか効率的に動くとか、そういうことに興味ある?

ハリソン:まあ、ないわけではないですね。ちょっと、時間とは関係ないかもしれませんが、「YouNeedABudgetBudget.com」というサービスを使ってます。経費や予算の計算を管理してくれるサービスで、出費の記録などもしてくれます。ニューヨークはお金のかかる街なので、僕には必須のツールですね。お金関係の数字がとっちらかると仕事にも差し支えるので、そういう意味では効率的かもしれません。

BIJ:じゃあ、日々やることはちゃんと管理する方なんだね。ToDo管理はどうやってるの。僕の場合は手帳に無印良品のメモを挟んでおいて、そこに「やること」を書き出し、終わったら消していくという感じで日々生じるタスクを管理してるんだけど。

ハリソン:僕も紙のノートブックを使っています。ToDoリストを“視覚化”させれば何をするべきか忘れないし(仮に忘れても書いてあるしね)、済んだタスクにチェックをつけていく作業って、けっこう気分がいいもんですよね。ノートブックは僕を“モチベートさせてくれる存在”と言っていいんじゃないでしょうか。

BIJ:ケータイとPC以外で「これは必須!」っていうものはある?

ハリソン:愛用のカメラ「Fuji XT2」ですね。僕はけっこう熱心なフォトグラファーで、以前は35mmのフィルムカメラしか使っていなかったんですけど、数カ月前にこれを買ってからはもう手放せないですね。デジタルカメラを買ったのはこれが初めて。まるでフィルムカメラみたいな使い勝手です。

BIJ:音楽についても聞きたいな。仕事中はどんな音楽を聞いてるの?

ハリソン:クリエイティブな仕事じゃない限り、つまり、メール等の雑務の時は好きなものを何でも聴きますね。ジャズやヒップホップ、ロック、インディーズ・ミュージックやEmo、エレクトロニック・ミュージックとか。でも、クリエイティブな仕事をする時は、静かな環境がいいですね。いつも慌ただしいニュースルームで働いているので、静寂というには程遠い環境なんですけど。だから、周りが騒がしい時には、集中するためにインストゥルメンタルとかダウンテンポのエレクトロニック・ミュージックを聴いてます。


BIJ:そうか。好きな音楽のジャンルはけっこう幅広いんだね。本はどう? ハリソンがどんな本を読んでいるか気になる。

ハリソン:僕はいつも複数の本を並行して読んでいるんです。最近はFrantz Fanonの「The Wretched of The Earth」(*)や、1961年に出版された植民地化の影響について書かれた本、それに1998年に出版されたLorrie Mooreの「Birds of America」(*)っていうアメリカの日常を描いた短編集を読んでいますね。今週は茂と亮介(BUSINESS INSIDER JAPAN編集部の佐藤茂と中西亮介)の勧めで、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を読みました。日本の文化をとても興味深く説明した本でした。

*「The Wretched of The Earth」:「地に呪われたる者」(フランツ・ファノン、鈴木道彦、浦野衣子/みすず書房)

*「Birds of America」:「アメリカの鳥たち」(ローリー・ムーア、岩本正恵/新潮社)

BIJ:へえ「陰翳礼讃」を読んだんだ! だったら「細雪」も読むといいよ。本当に素敵な小説だから。じゃあ、いよいよ映画について聞こうか。お気に入りの映画は? あるいは一番好きな映画でもいいよ。

ハリソン:ああ! それに答えるのはとても難しい。あまりに沢山の映画を見ているばかりに、友だちからは「全部好きなんだろ」ってイジられているよ。でも、ウディ・アレンの『アニー・ホール』からは本当に多くのことを学びましたね。“ロマンチックな関係とは何か”をあれほど的確に表現している作品は他にないと思います。あと、ダーレン・アロノフスキー監督の『ファウンテン 永遠につづく愛』も大好き。この作品はアメリカでは失敗作だと思われているんですが、だいぶ誤解されていますね。とても美しい作品です。人生というものを改めて深く考えさせられます。

僕は野心的な映画が好きなんです。たとえ、それが失敗作だとしてもね。観る前から中身がわかってしまうような映画には興味がありません。


BIJ:奇遇だね。僕もウディ・アレンは大好きだよ。Business Insiderはマンハッタンにあるじゃない。いつでもセントラル・パークに行けるってのが羨ましい。ダーレン・アロノフスキーの作品はどれも素晴らしいよね。『レクイエム・フォー・ドリーム』はいまでも忘れがたい。音楽と本と映画が好きで、仕事にも熱心だと寝る時間がないんじゃない?

ハリソン:学生の頃は夜更かしが習慣でしたけど、Business Insiderに入社してからは朝6時に出勤するよう求められていたから、結果的に早起きになりましたね。夜も12時30分までには寝ようと努めています。実際、そうもいかないですけど。

BIJ:そっか。ハリソンは本当にタフだよね。BUSINESS INSIDER JAPAN編集部とのミーティングでもぶっ続けで何時間も話したりしてたじゃない、毎日毎日。いつもはどういう風に気分転換をしてるの?

ハリソン:本を読んだり、自分で文章を書いたりしますね。そのどちらもやる元気がない時はテレビを見たり、音楽を聴いたり、ニューヨークの街を歩き回ったりします。探検するのはいつでも楽しいです。


BIJ:へえ。そういうところも僕と似てるね。じゃあ、最後に。今、インタビューしてみたい人はいる?

ハリソン:宮崎駿監督かな。

BIJ:いつかインタビューできるといいね。宮崎駿監督の本は英語になっていないのかな。「出発点——1979〜1996」「折り返し点——1997〜2008」なんて、彼の思想的な傾向が垣間見えて、とても興味深いと思うよ。

ごめん。もう一個あった。これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてくれる?

ハリソン: オーケー。2つあります。僕がニュース・エディターとして仕事をする上でのルールにもなっています。

[1]決断をしろ。あまりにも長く迷っていると、決断はあなたのために下されることになる。

[2]自分が持っているものではなく、自分が成し遂げたこと学んだことで人生を測れ。

BIJ:ありがとう! ニューヨークに帰っても頑張ってね。また、ビデオミーティングで会いましょう。

*協力:中西亮介、石井光一郎

*本記事はライフハッカー[日本版]の人気連載「HOW I WORK」の質問テンプレートを参考にしました。


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