トランプ大統領の国境税、その大きすぎる問題点

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メキシコとの国境付近に立つサイン

REUTERS/Mike Blake

最近、国境税があちこちで話題だ。しかし、本当のことを理解している人は少ない。

その理由の1つは、トランプ大統領自身の混乱したメッセージにある。大統領はこの問題について何度も立場を変えてきた。

1月16日、トランプ大統領は保護政策の一環として輸入品に国境税を課すことは気が進まないと述べた。「国境税は好きではない」と言い、さらに「複雑すぎる」と加えた。

数日後、大統領は考えを変えた。「国外に進出するために国内拠点を閉鎖し、2000人や5000人の雇用をなくすなら、我々は輸入品に非常に重い国境税を課すつもりだ」と、大統領はCEOたちとの会談で警告した。

国境税とはどういうもので、どんな影響があるのか? ピーターソン国際経済研究所が国境税の詳細を明らかにするための会議を開催したが、その将来像は特に良いものではなかった。

共和党大統領の初めての経済政策が増税という皮肉はさておき、多くの米企業がその収益を国際的なビジネスから得ているにもかかわらず、国境税は国際的なビジネスを展開する企業への罰則として機能する。ピーターソン国際経済研究所のエコノミストによれば、国境税は「輸入品に重い関税をかけ、輸出品は無税になる」ものだ。

イングランド銀行の元政策担当者であり、ピーターソン国際経済研究所の会長であるアダム・ポーゼン氏(Adam S. Posen)は、問題はトランプ大統領の税制案を支持している輸出業者の利益が大幅に上振れすることだ、と言う。

「国境税が生み出す利点は非常に少なく、歪みが極めて多い。米国と世界経済に与える打撃は極めて大きい。実際のところ、非常に有害だ」とポーゼン氏は言う。

国境税はトランプ政権に浸み込んでいる外国への不信感の現れであり、メキシコや中国だけでなく、オーストラリアのような長年の友好的な貿易相手国さえも動揺させる。さらに将来の税制や関税について、新たに不確実な要素が加わることで、ビジネスの見通しを雲らせ、投資活動に悪影響を及ぼす。

また、米国は他国によるアメリカ製品の輸入関税の引き上げという報復リスクにも直面する。国境税は貿易戦争の引き金になる恐れがある。

[原文:Trump's border tax plan has one problem

(翻訳:小池祐里佳)

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