社名から「自動車」をなくしたテスラ、しかし実態はまだ自動車メーカー

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Justin Sullivan/GettyImages

先週、テスラは正式に社名を「Tesla Motors」から「Tesla Inc.」に変更した

すでにウェブサイトのURLから「Motors」をなくしていた同社。2017年の財務報告は、複雑なものになりそうだ。自動車メーカーの範疇を超えて、エネルギー関連やソーラーシティの買収により、ソーラービジネスにも進出、事業を拡大しているためだ。

時価総額400億ドル(約4兆5000億円)の「an integrated sustainable-lifestyle-solutions conglomerate(統合された持続可能なライフスタイルのためのソリューションを提供する複合企業体)」と称するテスラだが、その中身はまだ固まってはいない。むしろ、「自動車メーカー以上」と考えるのは、長期的な企業経営の「健全性」の観点からは危険だ。

株式価値0%

モルガン・スタンレーの自動車産業アナリスト、アダム・ジョナス氏は昨年、ソーラーシティについて、「同社の財務状況と最近の株価を考えると、テスラにおけるソーラーシティの株式価値はゼロとみなしている」と述べた。同様にバッテリー事業を行うテスラエネルギーについても「価値はゼロ」とした。

随分と手厳しい評価だが、2つの会社に投資している投資家にとっては、価値は「ゼロ」という見方は妥当な意見だろう。テスラは企業統合を図りたいわけだが、テスラエネルギーはまだ始まったばかりの事業であり、ソーラーシティのせいで巨額の負債を負った。

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テスラのソーラールーフ

Tesla

SpaceX同様、もともとイーロン・マスク氏が所有していた自動車関連以外の事業は、テスラの企業価値を低下させるという懸念を拭えない。たとえ、「人類の化石燃料の時代を終わらせ、万一の際には火星居住を可能にする」という彼の壮大な理念を実現するためのものだとしても。

理想と現実

マスク氏のビジョンはさておき、テスラの企業活動の核は、結局、自動車だ。これなしでテスラは成り立たない。この先、ソーラーシティやテスラエネルギーが自動車関連事業を超える可能性を否定はしないが、屋台骨はあくまで自動車の製造、販売だ。

テスラの株価は現在、250ドル(約2万8000円)で推移しており、投資家は今年の後半に予定されている新車「Model 3」の発売を見守っている。

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マスク氏は2017年、様々なことに取り組むつもりだ。

OnInnovation/Flickr

2016年3月の発表以来、「Model 3」には37万3000台の予約が入っている(しかも、1000ドル、約11万2000円の手付金つきで)。実際に販売が開始され、売上げが計上できるまでには、まだ時間がかかる。しかも、テスラは販売が3年遅れた「Model X SUV」のような過去がある。同じことが起きれば業績への打撃となる。テスラの太陽光パネルがいかにクールだろうが、テスラエネルギーが成長しようが、取り返せない。

難しい分野

自動車の製造/販売と他の事業をどう組み合わせていくのか、テスラにとって2017年は難しい年になるだろう。しかし、それでも前に進まなければならない。マスク氏はこの2年以内に年間50万台の製造を目指している。2016年はこれまでで最多の8万5000台を生産したが、この数値を見る限り、まだまだ課題は多い。

それでも、グリーンエナジーと自動車の企業体として、テスラはカリフォルニア州で電気自動車を製造し、ネバダ州に巨大なバッテリー工場を持ち、各地で太陽光パネルと電力貯蔵システムを推進、そのすべてが電気自動車製造につながる流れを生み出している。2016年はテスラにとって大きな躍進の年だった。2017年もさらなる成功が見込まれる。

しかし、名前が変わってもテスラはやはり自動車メーカーだ。今も、そしてこれからも。

[原文:It's too early to start thinking of Tesla as more than just a car company(TSLA)

(翻訳:十河亜矢子)

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