Damir Sagolj/Reuters
最近、ある種の経済学者が低出生率と低成長に悩む国々を不穏な言葉で表現している。「人口統計上の時限爆弾(demographic time bomb)」だ。
日本がそのもっとも極端な例だ。日本の人口はこの10年間、減少の一途をたどっており、2016年にはこの117年間で初めて出生総数が100万人を下回った。一方、65歳以上の人口も増え続けている。
国際通貨基金(IMF)の最新レポートによると、次に続くのは韓国のようだ。
「韓国の今後の課題 ―― 日本の経験からの教訓」と題した報告書によると、現在韓国に見られる経済的、社会的展望は、1990年代初頭の日本と非常によく似ている。このまま何の対策も行わなければ、韓国も2035年頃に“爆弾が破裂する”ことになる。
日本の労働人口は定年人口の増加に伴い、縮小していった。1995年には労働人口(18歳から65歳)が全体の63%を占めていた。それが2015年には56%に減少している。韓国の労働人口は現在66.5%だが、アナリストはこの数字が数十年後には日本の2015年時点の割合と一致すると予測している。
また、日本の経済成長率は、労働力が減少する中で1980年代の平均「4%」から2000年代には「1%未満」に下落した。一方、韓国では1991年の「8%」から2015年には「2.9%」に下がった。
この「時限爆弾」は様々な要因によって引き起こされる。“解除”するのはかなり困難だ。日本、韓国の両国で言えば、仕事が忙しく、デートを楽しむ時間もほとんどないことや、平均寿命が延びていること、高齢者ケアを担う若者の数が減少していること、そして女性が働くことを好ましく思わない伝統的風潮といった様々な問題が組み合わさっている。
レポートには「高齢化は、労働力や貯蓄、投資、成長、そして経常収支や財政バランスと密接にかかわっている」と記されている。もちろん、その国特有の要因もある。例えば、日本人が抱く仕事への忠誠心のように。
しかし、日本、韓国ともに人口の高齢化は驚くほど急速に進んでいる。2015年には韓国の平均年齢は50歳となり、世界最大の高齢国になるという試算もある。日本の総人口に占める65歳以上の割合は、他の年齢層を抑えて第1位の26.7%だ。
両国の出生率は、人口を維持するために必要とされる水準「2.2人」をはるかに下回っている。日本の出生数は「1.41人」、韓国は「1.25人」だ。
「時限爆弾」は悪循環を生むので、国が子どもを作ることを推奨したり、「お見合いイベント」を開催するくらいでは効き目がない。両国にとって最適なアプローチは女性の社会進出を促進し、ジェンダー的な役割を排除する政策を打ち出すことだと提言する経済学者がいる。これにより、子育てと仕事を両立できる人が増えることになるからだ。
韓国の人口動向がおよぼす影響のうち、今はまだ表面化していないものもある。しかし、日本から何らかの教訓を得ない限り、歴史は繰り返されることになる。
[原文:Korea is 20 years away from a 'demographic time bomb,' IMF says]
(翻訳:Conyac)