アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏
Brent Lewis
百貨店メイシーズが、カナダの大手百貨店ハドソンズ・ベイと身売り交渉を進めている。ハドソンズ・ベイは、百貨店サックス・フィフス・アベニューのオーナー企業だ。しかし、メイシーズを買収する可能性がもっとも高いのは、百貨店の売上を減少させた、あの企業かもしれない ―― アマゾンだ。
金融サービス会社Cowen&Coのアナリスト、オリバー・チェン氏によると、同社がメーシーズを買収すれば、両社の弱みを補い合うことから「革命的」な組み合わせになる。
7日火曜日に発表したレポートの中で、チェン氏はメイシーズの買収がなぜアマゾンにとってメリットになるのかを述べた。
シェン氏が考える理由は以下のとおり。
- 素晴らしい取引先:アマゾンは、メイシーズが持つ多くのアパレルブランドとコネクションを作り、拡大することができる。
- スピード:アマゾンは、メイシーズの実店舗や倉庫を利用することで、配送スピードを向上させることができる。
- ビッグデータと小売業の組み合わせ:アマゾンは小売業で“最高”のテクノロジーを持っている。メイシーズが在庫管理や価格設定に活用でき、売上向上につながる可能性が高い。
- 実店舗とオンライン店舗の融合:アマゾンはメイシーズの実店舗をオンラインショップの“ショーケース”として利用できる。また返品対応も簡単にできるようになる。
加えてチェン氏は、アマゾンのアクセス数の増加、サプライチェーンに関する専門知識、若年層を中心とした顧客基盤、優れたモバイル技術がメイシーズにプラスに働くと述べる。
「この買収が成立すれば、我々が以前指摘したアマゾンに必要な要素 ―― 魅力的なブランド、素敵なコーディネート提案、返品できる実店舗、顧客が商品を実際に試せる場所 ―― を獲得することができる。この買収によって、これらの大きな問題のいくつかが解決できるだろう。メイシーズはアマゾンにコーディネート提案に関する信頼性やファッションを取り扱うものに求められる威光を与える」
チェン氏は潜在的な利益が大きいと考えているが、近い将来、同社とメイシーズの間で具体的な交渉が実現するとは思っていない。メイシーズは現時点ですでに苦戦しているからだ(店舗の維持コストがかなりの事業負担になっている)。
また、Cowen&Coの別のアナリスト、ジョン・ブラックレッジ氏が指摘したように、アマゾンは通常、大規模な取引は行わない(メイシーズの買収には、おそらく100億ドル:約1兆100億円くらい必要)。同社はAmazon Goのような小規模な取り組みを試行錯誤しながら進めていくことが多い。
レポートは、「アマゾンはメイシーズを買収するというよりは、メイシーズからシェアを奪い続けていく可能性の方が高いだろう」と結んだ。
[原文:The case for why Amazon should buy Macy’s]
(翻訳:梅本了平)