Mark Wilson/Getty Images
ニューイングランド・ペイトリオッツが、スーパーボウルで劇的勝利をおさめた次の日、セイフティのデビン・マッコーティ選手は、チームのホワイトハウス訪問には加わらないと発表した。マッコ―ティ選手はトランプ大統領の多くの強烈な意見や偏見を描写したうえで、ホワイトハウスに行っても歓迎されるようにはとても思えないとその理由を説明した。
マッコ―ティ選手は、スーパーボウルの勝利チームがホワイトハウスを訪れるという伝統に参加しないと表明した2人目のペイトリオッツ選手。1人目はタイトエンドのマーテラス・ベネット選手で、「ホワイトハウスにいる男」を支持できないから行かないと述べた。
チャンピオンシップを制したチームがホワイトハウスに招待されるのはアメリカで長く続く伝統だが、これを辞退する選手の多さもほぼ伝統になりつつあり、ホワイトハウスのセレモニー運営にも大きな変更がもたらされかねない。
最近起こったよく知られた事例をあげると、
- トランプ氏の支持者として有名なMLBシカゴ・カブスのジェイク・アリエッタ投手が、オバマ大統領の頃のホワイトハウス訪問を辞退
- 保守派のティーパーティ運動家として知られるNHL(プロホッケーリーグ)ボストン・ブルーインズのティム・トーマス選手が2011年にホワイトハウス訪問を辞退
- NFLマット・バーク選手が、2013年にボルチモア・レイブンズの一員として招待された際、非営利団体Planned Parenthoodを支持するオバマ大統領を引き合いに出して、訪問を辞退
- ペイトリオッツの大スター、トム・ブレイディ選手も、2015年のホワイトハウス訪問を辞退
以前、選手たちの多くは論争を避けるために辞退の理由に、スケジュールの都合や家族の事情をあげることが多かった。
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しかし、トランプ大統領がホワイトハウスにいる現在、選手たちの辞退の状況は変わりつつある。つまり、さらに多くのスポーツ選手が反政権的な流れに乗りだす可能性があるのだ。たとえば、NFLサンフランシスコ・フォーティナイナーズのコリン・キャパニック選手が、警察の行為に抗議して、国歌斉唱中に膝をつき、起立しないこともあった。
ホワイトハウスの選手訪問の減少は、リーグ、チーム、ホワイトハウスそれぞれにとって問題だ。すでにこの伝統は、誰がホワイトハウスに「行くか」ではなく、誰が「行かないか」に重点が移ってしまっている。
選手の中には、ホワイトハウス訪問を義務だと考える人もいるが、チームが選手に強制することはできない。では、この増加傾向にあるネガティブな辞退者たちをどうすべきか? 実は非常に簡単な解決方法がある。近い将来、これが実現する可能性が高いのだが、そうなると伝統は永遠にその形を変えてしまう。
その解決策は、ホワイトハウスがチーム全体を招待するのではなく、チームが「ホワイトハウス訪問という名誉」のために選手を選抜するというものだ。
各チームが5〜30人程度の選手を選んだり、チームが選手全員を選ぶなど、やり方はいろいろ考えられる。ポイントは、この訪問に選ばれた選手が名誉を与えられたように見えることだ。もちろん現実には、単純に行きたい選手だけをチームが招待することになるのだろうが。
とはいえ、仮にそうなれば、ベネットやマッコーティ、トーマスやアリエッタも訪問を辞退することはできない。呼ばれてもいないものを辞退できないからだ。
この解決法なら、問題のポイントは、誰が行かないかでなく、誰がチームを代表するかという本来のものになる。大統領が誰になろうとことの本質が揺らぐことはない。
[原題:More athletes are refusing to visit the White House, and it could change a great tradition forever]
(翻訳:日山加奈子)