ビヨンセ「フォーメーション」
Screenshot via Beyonce/Parkwood Entertainment/YouTube
ビヨンセが自身の曲「フォーメーション」の楽曲とミュージックビデオのサンプリング音源をめぐって訴訟を起こされ、2000万ドル(約22億8000万円)を要求されている。
アンソニー・バレエ(Anthony Barré)は生前メッシー・マヤ(Messy Mya)のアーティスト名で知られ、2月7日火曜日(現地時間)に、彼の遺産管理人が連邦裁判所に提訴した。ビヨンセが、マヤの音声サンプリングを彼女の人気シングル曲とビデオの中で無許可で使用したとしている。
ビヨンセのビデオの冒頭で、マヤ(バレエ)が「What happened at the New Wil'ins? B----, I'm back by popular demand(ニューオリンズで何が起きたんだ、人気におされて俺が戻って来たぜ)」と言っているのが聞こえる。このくだりは、下記のメッシー・マヤ名義のビデオから来ており、このビデオはすでに何百回、何千回と再生されている。
バレエが「フォーメーション」ビデオの後半に「Oh yeah, baby, oh yeah I, ohhhhh, oh, yes, I like that, 」と言っているのは、同氏がメッシー・マヤ名で発表した別の映像の中でも聞くことができる。こちらは、同じくニュー・オリンズのヒップホップスタイル、バウンス系音楽でよく知られるビッグ・フリーディア(Big Freedia)と一緒にサンプリングされている。両者とも「フォーメーション」のミュージックビデオの中でロケ地として使われているニューオリンズの出身だ。
バレエは2010年に銃で撃たれて死亡。22歳だった。
興味深いことに、バレエの音声は、ビヨンセのアルバム「レモネード」のデジタル版に収録された「フォーメーション」には含まれていない。なお同曲とアルバムは、12日日曜日(現地時間)に発表が予定されている2017年グラミー賞にノミネートされている。
MTVによれば、バレエの遺産管理人の弁護士は訴状の中で下記のように書いている。
「アンソニー・バレエの遺産管理人は、ビヨンセ・ノウルズ・カーター並びに、パークウッド・エンターテイメント、ソニー・ミュージック・エンターテイメントその他に対し、逝去したバレエ(別名メッシー・マヤ)のパフォーマンスにおける音声と言葉は本来彼自身の功績となるべきにも関わらず、人気楽曲『フォーメーション』の中で無許可に使用され、配信され、公演中に使用され、利用されたことを主張する」
バレエはニューオリンズではよく知られたコメディアン、音楽アーティスト、かつ司会者だった。 彼はニューオリンズのバウンス系音楽の潮流に深く関わっていた。記録に残っている彼のパフォーマンス、声明や漫談ネタは100以上にのぼる。
もし本当に、ビヨンセとソニー側がメッシー・マヤのサンプリングを無許可で使用したのだとすると、マヤのインターネット上での人気を思えばおかしな話に思える。特に近年においてはポップスターが著作権違反で何度も訴えられているのだ。
MTVによると、バレエの遺産管理人は、「フォーメーション」の売上による印税とその他諸々の損害に対する補償として2000万ドル(約22億8000万円)を要求している。
ビヨンセのレーベルであるソニー・ミュージックの広報担当はBusiness Insiderの問い合わせに対し、すぐにはコメントしなかった。
(敬称略)
source: Parkwood Entertainment
[原題:Beyoncé is being sued for $20 million over an allegedly stolen sample in 'Formation']
(翻訳:日山加奈子)