トランプ派の農家たちが反移民政策による深刻な打撃を懸念

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早朝の霧の中、ナスを選ぶ(2016年8月31日カリフォルニア州ランチョサンタフェの農場で)。

Reuters/Mike Blake

昨年の米国大統領選挙当時、有権者はトランプ氏の公約をどれくらい信じていたのだろうか?

昨年8月、ケリーアン・コンウェイ現大統領顧問は不法移民を追い出すために退去命令を出すというトランプ大統領の公約を撤回し、彼の計画は「未定である」と発言した。また10月には、トランプ大統領とマイク・ペンス現副大統領がシリアへの軍事介入について異なる考えを持っていたことが明らかになった。さらに、トランプ大統領は11月、人間の活動と気候変動の間に「若干のつながりがある」とニューヨーク・タイムズに語っている(以前は「中国の欺瞞(ぎまん)だ」としていたにもかかわらず)。

この二転三転するレトリックは、トランプ賛成派に反対派の意見を軽視させ、話し合うまでもないものだと思わせた可能性が高い。しかし、このやり方は、トランプ大統領を支持するカリフォルニアの農家たちに不安を抱かせ始めている。

ニューヨーク・タイムズがトランプ大統領に投票した白人の農家約10数名に取材したところ、全員が実際は偽造文書を持つ労働者に頼っているということが明らかになった。トランプ大統領が実際に、アメリカとメキシコの国境に壁を建てたり、正式な書類を持っていない移民を国外追放したりするとは、彼らのほとんどが信じていなかったのだ。しかし、トランプ大統領が任期初めの数週間でサインした大統領令の数々は、すでにアメリカの出入国管理制度を混乱させ、自由貿易を厳しく取り締まる道へと国を導いている。つまり、トランプ大統領の行動は、彼の公約が文字通り施行されるということを示している。

米農務省の報告によれば、カリフォルニア州は他のどの州よりも国に食糧を多く供給しており、2015年の収入はアメリカ全体の総収入のうち約13%を占めている。労働省が実施した全国農業労働者調査(NAWS)によれば、アメリカの全農作業従事者の約半数が米国で働くための合法的な権利を持っていない。この違法労働者の割合を70%ともっと高く見積もるデータもある。

トランプ大統領が公約通り、彼ら大勢を国外追放すれば、カリフォルニアや他の州の農業経済は深刻な被害を受けるだろう。

カリフォルニア州フレズノ郡の農家4代目ハロルド・マクラティ(Harold McClarty)氏は、「もし合法労働者だけになれば、農産業とこのあたりの地域は部分的に消滅する」とニューヨーク・タイムズに語った。

「もし我々が移民を祖国へ送り返せば、明らかに大打撃だ」

農家の生活や労働条件を改善することを目的とした非営利団体Farmworker Justiceの社長であるブルース・ゴールドスタイン(Bruce Goldstein)氏は、最近の会談でこの問題をさらに深刻に捉えている。

「大規模な国外追放を行えば、我々の農業制度は崩壊するだろう」

不法労働者が突然いなくなれば、農家を顧客とする他のビジネスも影響を受ける。カリフォルニア州マデラ郡のギフトショップオーナーと保険代理店は、この変化で自分たちの商売が厳しい状況になるだろうとタイムズに語る。

トランプ大統領が提案している貿易政策に関する改変も、農民の関心を高めている。就任したその日のうちにトランプ大統領はアメリカをTPPから撤退させ、NAFTAに関しては、再交渉して有利な条件を得ることを誓った。ショーン・スパイサー報道官は、メキシコなどからの輸入に20%の関税を掛け、国境付近の壁の建設費を拠出する考えを浮き彫りにした。

もし、トランプ政権が輸入関税を掛けたり単にNAFTAから離脱したりすれば、アメリカの農家は政策によって影響を受けた国々からの重い報復リスクを負う。 LAタイムズによれば1990年代半ば以降、大豆、乳製品、穀物、肉などの輸出商品利益は2桁成長している(NAFTAは1994年に発効した)。

この場合、カリフォルニアの農家はもっとも大きな打撃を受ける。 2015年のカリフォルニア州農業生産物のうち約26%は輸出され、合計で206.9億ドル(約2兆3000万円)の利益になっている。同州はアーモンドやナツメヤシ、にんにく、オリーブ、食用ブドウなどを輸出するアメリカ唯一の州だ。

今もトランプ大統領を支持する多くの農家は、環境保護規制への反対が彼らの商売にとって有益である、と依然として期待する。

カリフォルニア州のラジオ局KQEDによると、同州の一部の農家は国が環境保全第一の政策を行っているために現地では過去数年間にわたって水不足が続いていると批判。フレズノ郡での選挙スピーチの際、トランプ大統領は「水を供給する」と約束していた。

大統領のビジネスマンとしての嗅覚が大規模な国外追放の暗い行く末を察知し、違うやり方を生み出すのではないかと期待している者もいる。またNAFTAの再交渉がアメリカの農産業にとって有利になる可能性もある。

今のところ、カリフォルニアの農家はトランプ政権の政策が実際に確立されるまでじっと待つしかない。

[原文:Trump-supporting farmers are worried that new immigration policies would be a disaster

(翻訳:小池祐里佳)

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