“恐ろしい衝撃”:トランプ大統領は外国の諜報機関にとって「仕事しやすい」相手?

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カナダのジャスティン・トルドー首相と会談するトランプ大統領

Kevin Dietsch/Getty

トランプ大統領と安倍首相は先週末、北朝鮮のミサイル発射に関する報告をトランプ大統領所有のマー・ア・ラゴのレストランで受けた。ホテルでVIP会員に囲まれながら。携帯電話のライトが機密文書に向かって当てられており、その様子を写真に撮ってFacebookにアップロードしようとする者もいた。意思決定のプロセスは今や「筒抜けだ」とCNNは報じた

国家安全保障の専門家は警鐘を鳴らしている。外国の諜報機関は、トランプ大統領が「安全でない場所で機密文書や極秘情報を受け取る」と勘付き始めている、というのだ。

「もし、事実ならこれは相当、異常な事態であり、国家の安全保障情報を管理するには危険すぎる」とハーバード大学ケネディ・スクールの元学長で、クリントン政権下で国防次官補を務めた経験もあるジョセフ・ナイ教授は、Business Insiderにコメントした。

オバマ政権下で国土安全保障省の政府間業務次官補を務めた国家安全保障アナリスト、ジュリエット・カイエムも大いに同意した。

「どんな基準に照らし合わせても、恐ろしく衝撃的だ

「通常は、こういったブリーフィングや会議はSCIF (secure compartmentalized information facility))という機密情報隔離スペースが確保された場所で行われる。ホテルの客室や大使館など、大統領がどこに行くとしても例外はない」とカイエム氏はメールで述べている。

「もし内情が公になってしまったとしても、『我々は相手国の機密情報をきちんと管理します』という姿勢そのものが同盟にとって重要だ」

彼女は加えて、「安倍首相に落ち度はない。彼は我々のゲストだった」と述べた。

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元投資家のリチャード・ディガージオは、会議の様子を写真撮影し、Facebookページに投稿した。

Screenshot/Facebook

北朝鮮の挑発にどのように対応するかを議論する中で、元国家安全保障問題顧問マイケル・フリンとチーフ・ストラテジストのスティーブ・バノンら政府当局者は、トランプ大統領と安倍首相の隣に立っていた。

CNNによれば「その場で文書が作成され、ワシントンと東京当局に電話がかけられた。パティオの明かりはキャンドルと月明かりしかなかったため、補佐官らは携帯のライトを使ってトランプ大統領と安倍首相が書類を読むのをサポートしていた」という。

ジャーナリストのジョン・クックはTwitterでこうコメントした。

「スノーデン情報漏洩事件の時は、みんな携帯なんて冷蔵庫の中にしまっていたのに……。彼らは携帯のライトで機密情報を照らしている

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Screenshot/Facebook

ブリーフィング(情報説明)の際、トランプ大統領がセキュリティ対策のなされていない Android 携帯を使っていたかどうかは不明。彼はTwitterを使用する際もこの携帯を使っている。セキュリティで保護されていない携帯は、カメラとマイクを乗っ取るウイルスに感染する可能性のあるフィッシング攻撃にさらされている

オバマ元大統領と世界中を飛び回った元ホワイトハウス公式カメラマンは、「旅先で、国家安全保障に関する話し合いと首脳との電話会談が設けられることになった。その場所で私的かつ安全なスペースが用意され、全員、携帯は外に置いておかなければならなかった」とInstagramに投稿している。

ホワイトハウスはこのブリーフィングに関する質問の嵐をやめさせようと、「大統領らは機密事項に関する話し合いをしておらず、北朝鮮の情報に集中していただけだ」とCNNにコメントした

また、トランプ大統領のブリーフィングに関する消極的な姿勢は、就任式以前からのものだ。昨年12月、トランプ大統領が大統領の日課であるブリーフィング —— 国家安全保障局(NSA)や中央情報局(CIA)から国際情勢の説明を毎日受ける—— をさぼっていることが明らかになった。当選してから1カ月が経っていた当時、受けたブリーフィングはほんの少しだった。一方、副大統領のマイク・ペンスは週に約6回程度ブリーフィングを受けているという

「えーと、わたしは賢い人間だ。これから8年間、同じことを同じ言葉で教えてもらう必要はない。8年間ではないかもしれないが、いらないものはいらない」、トランプ大統領は当時Foxで語っている。

「何か変化があったときだけ知らせてくれればいい」

いずれにせよ今回のブリーフィング事件は「外国諜報機関によるマー・ア・ラゴでのディナー予約を増やす可能性が高い」と、外交問題評会の国防政策担当シニア・フェローのスティーブン・ビドルはメールで語気荒く述べた。

国防政策委員会のメンバーでもあり、ジョージ・ワシントン大学政治学科教授のビドルは、「冷戦時代、情報機関は幹部職員より大統領が会話する場所をスパイするために長年の努力をした」と述べた。

「大統領がこんな場所で政策討議を行い続けるならば、スパイを大統領の近くにいかせて盗聴させるのは非常に容易になるだろう」

(敬称略)

source:CNNFox、Facebook、Twitter、Instagram

(原文:'Utterly shocking': National security experts say Trump is making foreign intelligence agencies' jobs much easier

(翻訳:小池祐里佳)

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