ハリウッドが “中国びいき” を加速させる理由

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2017年1月、香港のディズニーランド。Iron Man Experienceの開会式。

Getty Images

中国の映画興行収入が数年以内にアメリカを逆転するほどの伸びを見せる中、ハリウッドは中国マーケットや当局の動きに一層注目している。『Hollywood Made in China』の著者Aynne Kokas氏が今後の動きを解説する。


中国のマーケットの成長に伴い、海外のメディア企業は今後ますます中国を意識するようになるだろう。

ハリウッドの制作者が中国の観客や検閲を無視すれば、売上的にはマイナスになる。それほど中国マーケットの影響力は大きくなっている。「made in China」はコスト削減の手段からマーケティング戦略へと変わる。今後も市場が成長すれば、新たに制作される作品は単なる「made in China」ではなく、より「made for China」へと変わっていくだろう。

中国マーケットへの関心が高まれば、グローバルマーケット向けのコンテンツも中国を意識せざるを得なくなる。ハリウッドが中国向けのコンテンツを制作すれば、ストーリーやスクリーンに登場する人物に多様性が生まれるというメリットもある。しかし、中国マーケットをより重視することになれば、中国当局の検閲に通りやすいコンテンツが増えることになるかもしれない。結果的に作品は変化してしまう。これは中国に限らず、他のグローバルマーケットにも言える。

中国資本はハリウッドに実質的な影響力を持ち始めている。個々のプロジェクトや製作会社、さらに映画配給会社そのものに至るまで、投資先としてハリウッドを選ぶ中国企業が増えている。

アリババ(Alibaba)は2015年、『ミッションインポッシブル/ローグ・ネイション』に投資したと伝えられた。中国電影集団公司(China Film Group)は大ヒット作『ワイルド・スピード SKY MISSION』に投資した。中国のエンタテイメントおよびテクノロジー企業LeTVは2015年、ロサンゼルスにオフィスを設立。2015年4月には中国の映画製作会社Huayi Brothersがアメリカの製作会社STXエンタテインメントと12~15本の映画を共同制作することで合意している。また2016年1月、大連万達グループはアメリカの映画会社Legendary Picturesを買収し、中国の企業としては初めてハリウッド映画製作会社のオーナーとなった。

「Made in China」ではなく、ハリウッドで制作される映画が、ますます中国、もしくはハリウッドに投資する中国企業によって作られることになる。

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マット・デイモン主演『グレートウォール』は過去最大級の米中合作映画

Universal

中国からハリウッドへの投資が進めば、中国政府がハリウッド資本の受け入れに対応したり、中国で技術的な投資を行う必要性は減る。今後、映像配信がデジタルネットワークに移行すれば、中国のハリウッドに対する協力姿勢は、協力から競争へと移行するだろう。また、映画配給においてデジタルプラットフォームの役割が大きくなれば、アメリカ企業が中国のマーケットにおよぼすインパクトはより小さくなると想定される。

一方、中国のメディア企業によるハリウッドへの投資が減速する気配はない。

ハリウッドに対する中国の影響力が大きくなると、「ハリウッドが有するグローバルカルチャーへの影響力」にも変化が訪れる。文化評論家のレイ・チョウ(Rey Chow、周蕾)氏が言うように、中国映画がグローバルな観客にとって、急速に「目に見えるようになってくる」のだ。

膨大な予算を投じた映画の共同制作、巨大なテーマパークへの投資、そして映画配給会社への投資……。中国の映画配給会社とハリウッドの映画配給会社はますます結びつきを強めている。

中国のコンテンツ規制が国際的なコンテンツ製作においても無視できなくなれば、世界中の映画製作者たちはより厳しい状況と向き合うことになる。中国マーケットを意識して、製作者たちはコンテンツを自主規制せざるを得なくなるかもしれないのだ。

実際、ハリウッドと中国のコラボレーションは、実はそれほど商業的なものにならないかもしれない。ただ、その結果として、エンターテインメントの可能性を広げるのではなく、制限してしまうかもしれないという懸念は残る。

[原文:Hollywood's obsession with China is just getting started — here's why

(翻訳:Conyac

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