AppleのCFO ルカ・マエストリ
Alex Grimm/Reuters
第4四半期の決算報告によると、Appleは研究開発に対して28億ドル(約3200億円)支出した。2016年、1年間では103億9000万ドル(1兆1800億円)だった。
研究開発費への年間支出は過去最高に上ると予想される。
同社のCFOルカ・マエストリ(Luca Maestri)によると、同社は研究開発によって競合からの大きな差別化を図っており、新しい分野へと事業を拡大する原動力にもなっている。
14日火曜日に行われたゴールドマン・サックスでの会議でマエストリは、「Appleは短期的な利益には結びつかないことに取り組んでいる」とし、しかし、「それは未来への良い投資になる」と語った。その様子はAppleのIRサイトに掲載されている。
マエストリは具体的な内容を語っていないが、巷では、Apple CarやARメガネの登場が噂されている。
Appleの製品ラインナップはかつてないほどに拡大しているとマエストリは話す。「かつてはiPhoneは1種類だったが、今は3種類のiPhoneを製造している。複数の種類のiPod、Apple Watch、Airpods、そしてBeats headphonesも製造している。数多くの製品を開発するために研究開発費が多くなるのは自然なこと」と続けた。
さらにAppleはApp StoreやiTunesなどの成長中の「サービス」ビジネスに、より多くの時間とお金を費やしている。「我々のサービス事業は大きく成長した。iCloud、Siri、Mapsのようなサービスには多くの開発投資が必要で、サービスへの研究開発はかつてないほどに拡大している」とマエストリ。Appleの「サービス」事業の収益は直近の第四四半期で71億7000万ドル(約8100億円)に達した。
最後に、核となる技術の開発を社内に移行し始めた理由を語っている。
「開発研究に力を入れることによって我々は競合からの差別化ができる。今日、我々は数年前に行っていたよりもはるかに多くの基礎技術の社内開発に取り組んでいる。プロセッサー、センサーなど、開発すべき技術が昔よりもはるかに多いのは一目瞭然だろう。社内開発を行うことで、時間、質、コストを完全にコントロールすることができ、継続的にイノベーションを起こすことができる。この研究開発支出は効果的で、戦略的な投資だと考えている」
Appleは2015年、マイクロチップ開発に特化した研究開発センターをイスラエルに設立した。新しい研究開発センターの建設が横浜、インドネシアのジャカルタ、中国(場所は未定)に予定されている。
(敬称略)
[原文:Apple's CFO explained why its research and development costs increased to $2.8 billion(AAPL)](翻訳:Satoru Sasozaki)