カナダグースのジャケットは、もっとも暖かいジャケットだと定評がある。
Facebook/Canada Goose
高級アパレルメーカー「カナダグース(Canada Goose)」は、15日水曜日、新規株式公開(IPO)を申請した。ニューヨーク証券取引所およびトロント証券所に上場する。
同社のダウンジャケットは、冬に雪が降るような地域(アメリカ国内)に住んでいるなら、誰もが一度は目にしたことがある。赤と白と青のワッペンは、見間違いようがない。
ジャケットは約6万8000円〜10万8000円ほどする高級品だ。購入した人にその理由を聞けば、きっと「世に出回っている中でいちばん暖かいジャケットだから」というシンプルな答えが返ってくるだろう。
起業家のサム・ティック(Sam Tick)氏によって“都会で着るスポーツウェア”として1957年にカナダで誕生したこのジャケットは、実際に「南極での調査」「アラスカでのレース」「エベレスト登山」にも着用されてきた。専門技術を駆使して、“一番”という評判に見合う暖かさを提供している。
では、コヨーテの毛皮のコートや「フッター」ダウンのジャケットなどの高級品が“やり過ぎ”とみなされるニューヨークで、このダウンジャケットが支持されたのはなぜなのだろうか?
カナダグースには4つの縫製工場があり、1000人以上の従業員がいる。
Canada Goose
答えは簡単。ハリウッドでのお墨付きがあったからだ。
カナダグースのジャケットは、映画やテレビ撮影の舞台裏でスタッフが着る防寒着の定番だ。TV番組『Game of Thrones』や映画『The Danish Girl(邦題:リリーのすべて)』などの有名作品においても、カメラの裏側で愛用されてきた。
その後まもなく『The Day After Tomorrow(邦題:デイ・アフター・トゥモロー)』や『National Treasure(邦題:ナショナル・トレジャー)』といった映画の中に登場し、また、デビッド・ベッカムやクレア・デインズなどのセレブの私服としてパパラッチされたことも大きな要因だ。
さらに、同社がスポンサーを務めるサンダンス映画祭やトロント映画祭などでは、このジャケットを無料で配っている。『New York Magazine』のファッション情報サイト「The Cut」が伝えた。
全米でもっとも有名なグラビア誌「Sports Illustrated」でも、2013年には水着のモデルが同ジャケットを着用して表紙を飾った。
俳優ダニエル・クレイグは、2015年のジェームズ・ボンド映画『スペクター(邦題:007 スペクター)』の写真集でカナダグースを着用した。
Getty/Jan Hetfleisch
同ブランドは、ヨーロッパで先に火がついた。ヨーロッパでは「カナダ産」のブランド力が強いようだと雑誌「Enterpreneur」は伝える。
それ以来、全米で、そして世界中で、寒い時期に欠かせないダウンジャケットとしての地位を維持し続けている。売り上げは劇的に伸び、300万ドル(約3億4000万円)だった2001年から、2014年には2億ドル(226億7000万円)になった(Entrepreneurより)。昨年にはボストン大学で、このダウンジャケットの盗難が相次いでいる。
同社はカナダ国内に新しい大型工場を建設して、増え続ける需要に対応している。カナダの国内市場でカットソー全体の6%を生産しており、カナダ政府からもお墨付きをもらった。
デビッド・ベッカムはカナダグースを着て、南極でサッカーをした。
Nigel Blenkharn/ALE
カナダグースの活躍はまさに、“飛ぶ鳥を落とす勢い”だ。IPO上場の次は、アウターウェア以外の領域に進出するかもしれないとSEC報告書は示唆している。「消費者アンケートによると、我々の顧客は、他のカナダ・グース商品が欲しいと思ってくれています。特に、ニット、フリース、シューズ、旅行用品、寝具などの主要カテゴリーの商品です」
source:The Cut、Sports Illustrated、Enterpreneur、HAFFPOST LIVING
(翻訳:にこぱん)