家畜を保護するシリコンバレーカップルの“牧場ライフ”

シリコンバレーで働いている人の多くは、ハッカーハウス(起業家やエンジニア向けのシェアハウス)や、ローコストで建てられたシンプルなアパートを朝出発し、シャトルバスに乗って会社にやって来る。

だが、Anna Sweet(Facebook)と彼女の夫Nate Salpeter(原子力関係のエンジニア)は牧場からオフィスに通う。

動物保護区であり、非営利団体である「Sweet Farm」を2016年にオープンした際、テクノロジーと牧場という異なった仕事を同時進行させることに対して、この夫婦はまったく抵抗を感じなかった。この牧場は食肉市場から助け出された家畜の保護を目的としている。夫妻は牧場を訪れる人たちに対して、食べ物がどこからやって来ているのかを教え、家畜にとってより優しい環境作りへ協力を呼びかけている。

我々は牧場を訪れ、彼らの生活を見せてもらった。


Annaの本業はFacobook VRチームのパートナー開拓。出社前、彼女は夫と一緒に牧場に向かう。

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source:JIYANG CHEN

朝6時半、動物たちの朝食の時間。約50羽のニワトリ、ヤギが3頭、犬が3匹、牛と馬がそれぞれ1頭ずつ、そして野生の猫が数匹生活している。

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Dan Tabar

source:Dan Tabar

12エーカー(約5000平方メートル、東京ドーム1個強)の牧場を歩き回りながら、2人は動物たちを名前とともに紹介してくれた。

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築50年ほどの納屋で暮らす動物たちの由来は様々。繁殖作業から助けられたり、乳がもう出なくなった羊たちがいる。

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共通点は、牧場に来ることで命拾いをしたということ。彼らはもう少しで食肉になる運命だった。

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多くの場合、動物の持ち主から牧場に連絡が来る。卵も生まず、ミルクも搾れないオスや、年老いたメスは、もう不要だから。

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Annaはニューヨーク州北部の馬牧場で育ったが、牧場を始めた当初、動物についての知識はほとんどなかった。父親に相談し、他の農家からの協力を得て、なんとか牧場を運営している。

いろいろ親切に教えてくれる地元の牧場仲間には本当に感謝していると2人は口を揃える。今ではどのニワトリがどの卵を産んだのか、卵の微妙な色と模様でわかるようになった。

週に数十本以上の電話が農家からかかって来る。多くの街には雄鶏に対する規制があるため、雄鶏を引き取って欲しいという電話がほとんどだ。

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Facebookで多くの人が牧場のことを知った。彼らのページには4万以上のフォロワーがいる。


フーバーは、食肉用に地元の肉屋が飼育していたオスのヤギ。毎朝、Annaにハグしてもらいたくて彼女に駆け寄ってくる。Annaにとって最高の瞬間。

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Courtesy of Sweet Farm

source:Sweet Farm

雄牛のギズモは、近くに住んでいた女の子が子牛の時に救い出さなければ、ハンバーガー用の肉になっていた。仲良くなった子牛が900ポンド(約400kg)を超えた頃、女の子の一家はずっと飼い続けるのは無理だとわかっていたが、殺されるところは見たくなかった。

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そこで一家はSweet Farmに電話かけ、引き取ってもらえないかと打診した。いま、ギズモはのんびりと牧草を食べながら年老いた馬の親友スタージスとの余生を楽しんでいる。

スタージスは33歳の年老いた種馬。女性が牧草地で飼っていたが、洪水で取り残されてしまった。安楽死処分になるところをSweet Farmが助け出した。

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治療中のスタージスは、水、ニンジン、りんごなどが混ぜられた柔らかい餌を食べる。2人は動物の食べ物に、自分たちの食事よりも多くのお金をかける。

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夫のNateはコンサルタントとして原子炉の加熱・冷却システムを設計しており、現在はエネルギー省で働いている。勤務時間を自由に決められるため、動物の水や餌の状態を1日を通じて確認できる。

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「自分たちが大好きな仕事をしながら、こんな素敵な副業を見つけることができたのは本当にラッキー。IT業界で今話題のVRの仕事をするために会社に行き、うちに帰ったら牧場の世話をする。本当に最高のバランス」とAnnaは言う。

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仕事仲間もよく家に来る。2人はいつか仕事を辞めたら、彼らのための宿泊施設を作りたいと考えている。「Facebookのみんなも、牧場が欲しいと思っているはず」と彼女は言う。

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今年の春、Sweet Farmは動物たちと触れ合い、餌をやり、動物について学べるよう、1カ月間オープンハウスを実施する予定だ。

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Sweet Farmの目的は訪れた人たちをビーガン(菜食主義者)にすることではない。動物たちがより優しく扱われるよう、いろいろな現状を少しでも知ってもらうことが目的だ。

2人は訪れる人たちに「月曜日は肉を食べない」というスタイルを勧めている。そして食べる肉の量を減らし、購入する際も、牧草で飼育された肉や乳製品を選ぶように勧めている。

12.5エーカーの牧場では、ほんのわずかな動物しか助けることはできないとAnnaは語る。だから2人は、実際に動物を救うことよりも、多くの人に知ってもらうことを第一の目的としている。

カップルはこの古い納屋を動物愛護について学ぶことができる教育センターにしたいと考えている。また野菜の栽培も始めるつもりだ。

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また今年はブタを牧場に加えたいと2人は考えている。だが、これ以上数はあまり増やさないつもりだ。助けを必要としている動物たちと家庭や他の牧場を結び付ける養子縁組みプログラムもスタートさせるつもり。

友人たちから牧場で採られた卵を食料品店で見つけた、というメールを受け取るたび自分たちの活動が少しずつ役に立っていると感じている。

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「たくさんの動物を飼っているわけではないですが、ここにいる動物たちはみんなチャーミングで、彼らのストーリーはとても印象的です。ここに来ると皆、他人事に思えなくなるみたい」とAnnaは語る。

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[原文:This Silicon Valley couple saves animals from slaughter — take a look inside their farm

(翻訳:まいるす・ゑびす)

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