ほぼ毎食、ソイレントを飲むシャショア。
Courtesy of Eric Shashoua
エリック・シャショア(Eric Shashoua)が食事に使う時間は、1日合計5分以下だ。
食べるのではなく、飲んでいるのだが。
「Kiwi for Gmail」の創業者兼CEOである34歳のシャショアは、2016年9月から、もっぱら「ソイレント(Soylent)」を食事代わりに飲んでいる。
「このドリンクがCEOとしてのわたしの生活をガラリと変えてくれました」
以前、Business Insiderでケイト・テイラー(Kate Taylor)が伝えた記事によると、ソイレントは2013年、その創業者兼CEOであるロブ・ラインハート(Rob Rhinehart)によって、食事の代わりになる「未来のドリンク」として開発された。特にシリコンバレーやIT系の人々を中心に人気だが、現在はより広い層の顧客を獲得しようとしている。
シャショアは、毎日、4本〜4.5本のソイレントを飲む。1本400キロカロリーなので、合計で1600〜1800カロリーとなる。
それでも、6回に1回はステーキなどを豪快に食べるそうだ。彼は、いずれは固形物をまったく取らなくても生活していけるように、もっと優秀な「代食ドリンク」が登場することを期待している。
シャショアがドリンク食を始めたのは、健康上の理由からではない。生産性向上のためだ。 ソイレントに出会う前は、何を食べようかと考えるのに無駄な時間とエネルギーを使っており、近所のレストランにも飽きていた。
生産性の向上は、彼にとって重要な課題だった。生産性を上げるべく、サブウェイのサンドイッチを毎日食べるといった、一風変わった方法を試したことは、1度や2度ではない。
ドリンク食を始めるに前には、医師にも相談した。「ドリンク食を実践している人なんて見たことがない」と言われてしまったものの、「やるなと言われたわけではない」と肯定的に解釈した。
シャショアは定期的に血液検査を受け、血糖値に関わるA1Cの数値をチェックしている。ドリンク食によって血糖値が急上昇するのではないかと心配だったが、今のところは問題はない。
ソイレント
Dylan Love
食事をするのに1分か2分しかかからなくなったし、何を食べようかと悩む時間や食事を準備する時間も必要なくなった。仕事に限らず、食事以外の「もっと有意義なこと」にかけられる時間が増えたとシャショアは語る。
「毎日のスケジュールから、食べることに費やしている約1時間半を節約できれば、その時間で他の健康的なことだってできる」
「健康的なこと」とは、例えばエクササイズ。彼はステーキを食べる日にはエクササイズを欠かさない。
シャショアは、毎日同じ服を着ることで有名なFacebookのCEO マーク・ザッカーバーグやオバマ前大統領を例にあげ、より重要な決定に最大限のエネルギーを残しておくためには意味のない決定を減らした方がいいと述べた。ランチに何を食べようかという決定は、彼にとっては「意味のない決定」だ。ただ、そうしたエネルギーが有限なのかどうかについての研究結果には賛否両論がある。
シャショアはさらに、ドリンク食のおかげで毎日同じ時間に空腹になること、ミーティングとミーティングの間の5分間に素早くお腹を満たせることをメリットとして加えた。固形食を食べていた頃のように、ランチの後にボーッとしたり、眠くなったりもしないと言う。
毎日飲んでいても、ソイレントの味に飽きてはいない。
シャショアは社員にもドリンク食を勧めているが、今のところ失敗に終わっている。
「食事の楽しさを手放すことがもっとも難しい。これを諦めるには、かなり強い意志が必要だ」
(敬称略)
(翻訳者:にこぱん)