ワシントン発 —— 戦略国際問題研究所(The Center for Strategic and International Studies:CSIS)の一部門であるアジア海洋透明性イニシアチブ(The Asia Maritime Transparency Initiative:AMTI)によれば、中国が南シナ海の人工島に建設している6角形の施設は、対空砲や近接防御火器システム用の施設だ。
8月、AMTIは、詳細不明の6角形の構造物の衛星画像を公開した。
AMTIの専門家によれば、それらの構造物は常に海の方を向いており、5月頃に初めて衛星画像に捉えられた。
「最近の衛星画像を分析したところ、6角形の構造物は、陸上の施設を守るための防御システムに間違いない」とCSISのボニー・グレイザー(Bonnie Glaser)氏はBusiness Insiderに語った。
またグレイザー氏によると、中国は南沙諸島にある7つの人工島すべてに同様の施設を建設中だ。
12月15日水曜日(現地時間)、ロイターが最初に伝えたところによると、AMTIのディレクター、グレッグ・ポーリング(Greg Poling)氏は、これらの構造物の分析結果は「間違いない」と語った。
「これらの設備が、対空砲や近接防御火器システムであることは間違いない。中国がこれほど大規模、かつ先進的なシステムを有しているとは思ってもいなかった」とポーリング氏はロイターに述べた。
「まさに軍事要塞だ。中国は『これらの施設は防御目的のためだ』と主張しているが、巨大な対空砲や近接防御火器システムは、将来の軍事衝突に備えたものにほかならない」
グレイザー氏は、ポーリング氏に同調して以下のように続けた。
「これらのシステムは防御目的かもしれないが、習近平国家主席が島を軍事化しない、と約束したことと矛盾することは明らかだ」
ハーグ常設仲裁裁判所が南シナ海における中国の領有権の主張を無効と判断してから、5カ月あまりが過ぎた。しかし、中国は裁定に従わず、この地域での建設を続けている。
2013年以降、中国は3200エーカー(約13平方km)以上の人工島を南沙諸島に建設している。
※画像は、戦略国際問題研究所の許可を得て掲載。
スビ礁に作られた6角形の構造物
中国は、2014年7月にスビ礁での作業を開始し、975エーカー(約4平方km)を埋め立てた。スビ礁は、南沙諸島の最北端に位置している。
構造物の拡大画像
7月時点の様子
ファイアリー・クロス礁に作られている6角形の構造物
ファイアリー・クロス礁では中国は677エーカー(約3平方km)を埋め立て、9800フィート(約3000m)の滑走路を建設した。整備された港はタンカーや主要な軍艦、電波塔を受け入れるのに十分な大きさだ。
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6月時点の様子
ミスチーフ礁の衛星画像
7月のハーグ常設仲裁裁判所の裁定でもっとも重要なことはミスチーフ礁に関する裁定だ。ミスチーフ礁はフィリピンの領有権が認められた。
中国による約1379エーカー(約5平方km弱)の埋め立て、9800フィート(約3000m)の滑走路の建設、レーダー群、複数の専門家が海軍基地と推測するものが存在しているにも関わらずだ。
「常設仲裁裁判所は、中国によるミスチーフ礁の占有と施設の建設を違法と判断した。中国がこれらの施設を使い続けることは国際法に反する」とポーリング氏は以前のインタビューでBusiness Insiderに語っている。
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7月時点の衛星写真
(翻訳:編集部)