2020年までに燃料電池トラックの実用化を目指す、スタートアップ企業の壮大なビジョン

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Nikola Motor Company

燃料電池車は、まだ先行きが見えない分野だ。

だが、大手自動車メーカーの中には、そのメリット(EVほど充電時間がかからない、走行距離が長いなど)を見込み、開発に取り組んでいる会社もある。

ゼネラルモーターズ(General Motors)とホンダは、燃料電池システムを量産する合弁会社を設立した。両社の投資総額は8500万ドル(約960億円)、2020年の量産開始を目指す

ホンダの燃料電池車「ホンダ・クラリティ(Honda Clarity)」は、最大航続可能距離が366マイル(約590km)、ゼロエミッション車(二酸化炭素を排出しない車)のなかでもっとも長い。トヨタもまた、カリフォルニア州で燃料電池車「トヨタ・ミライ」をリース販売している。

しかしインフラ(水素ステーション)が整備されなければ、燃料電池車が普及する可能性はほぼない。エネルギー省によるとアメリカには1万5510カ所のEV充電ステーションがあるが、水素ステーションはわずか33カ所しかない。

2016年12月に燃料電池トラックを発表したスタートアップ企業「ニコラ・モーター(Nikola Motor Company)」はこの状況に挑む。ニコラは、同社の燃料電池トラックがアメリカ中を走れるよう、300カ所以上の水素ステーション建設を計画している。

同社の創業者兼CEOトレバー・ミルトン(Trevor Milton)氏に、水素ステーション建設計画とトラック業界の変革について聞いた。

燃料電池トラック「ニコラ・ワン」。最大航続可能距離は約800マイル(約1300km)。

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約800マイル(約1300km)という航続距離はほかのゼロエミッションの大型車よりもはるかに長い。トラックで競合するのはメルセデスベンツのEVトラックくらいだが、航続距離は124マイル(約200km)しかない。

スタートアップ企業プロテラ(Proterra)は、350マイル(約560km)走行可能な77人乗りのEVバスを開発中。EVバスとしては画期的な距離だが、ニコラ・ワンには及ばない。

ニコラ・ワンは、燃料電池で発電した電気を大型バッテリーに貯めてモーターを動かす。出力は1000馬力を超える。

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同社は、12台のニコラ・ワンを使って18カ月以内にテストを開始する予定。2020年の商用化を目指している。

水素の再充填にかかる時間はわずか15分。急速充電でも1時間近くかかるEV車よりはるかに早い。EV車は通常の方式では、充電に数時間かかる。

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だが、同社の成功を左右するのは、水素ステーションの整備だ。

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同社が2018年に建設開始を予定している364カ所の水素ステーション。2019年後半に完成予定。

ここが最大の問題点。水素ステーションをゼロから建設するのは、EVの充電ステーションよりもコストがかかる。ミルトン氏は水素ステーションの建設には、1カ所につき1000万ドル(約11億円)以上かかると述べた。

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2016年12月の時点では、場所はまだ決まっていないが工場を作り、各水素ステーションに配送すると語っていた。しかし、Business Insiderとの最近のインタビューでは、ミルトン氏は各ステーションで水素を製造すると述べた。つまりソーラーパネルと電気分解設備を各ステーションに設置することになる(電気分解とは、電気を使って水素を作る技術)。

同氏は、ソーラーパネルと電気分解設備のコストは除いても、1カ所の水素ステーションに1000万ドル(約11億円)かかると語った。

相当の資金が必要だ。しかし、ミルトン氏は「ステーション自体でもとが取れるようにする」と述べた。同社は小売権を各都市の投資家に販売する計画だ。しかし、同社はまだ土地買収の段階で、小売権の販売は行っていない。

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ミルトン氏によれば、同社は3億ドル(約340億円)の評価を受け、すでに1200万ドル(約14億円)の資金調達を完了している。ただし、投資家の名前の開示は控えている。また同氏によれば、現在デロイト(Deloitte)と1億ドル(約115億円)の投資について交渉中、4月に結論が出る見通し。

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トラック自体は2016年12月に予約を開始、40億ドル(約4600億円)相当の予約を受けたと述べた。しかし、この金額は各トラックが7年以上のリースを組んだ場合の金額。ミルトン氏は数百万ドルの入金があったと語ったが、トラックの予約金は1台あたり1500ドル(約17万円)に過ぎない。

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ミルトン氏は2016年8月、Business Insiderにトラックの予約件数は8000件だと述べたが、最新の数字を開示することは拒否した。

同社はリースプログラムを提供している。ニコラ・ワンを72カ月間、または走行距離が100万マイル(160万km)に達するまでの間、車種により1カ月5000〜7000ドル(約60〜80万円)でリースできる。燃料の水素の費用は、リース料金に含まれる。

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水素ステーションを建設し、稼動させるためには多額の資金が必要になる。問題は山積みだが、トラック自体はかなり進歩している。

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販売およびメンテナンスのパートナーとして、ライダー・システム(Ryder System)と提携した。同社は北米に800のサービス拠点を持っている。

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トラックの製造については、最初の5000台を製造するためにフィッツジェラルド (Fitzgerald)と提携。その後は、自社工場で年間5万台を製造する予定だ。工場の場所は2017年中に決定する見通し。

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ニコラの燃料電池トラックが現実のものになるかどうかは、水素ステーションの建設次第。だが、簡単な話ではない。まずは同社がその壮大なビジョンを実現させるために必要な資金を集めることができるのか。それを見極める必要があるだろう。

[原文:A startup has a grand vision to make hydrogen trucks a reality by 2020 — here's its plan

(翻訳:Conyac

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