今夏、アメリカで20店舗を運営するリドル。
Lidl
ドイツの人気ディスカウントスーパー「リドル(Lidl)」が、アメリカへの進出準備を進めている。
2018年中頃までにアメリカ東海岸に100店舗を展開する計画で、その手始めとして今夏、20店舗をバージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州にオープンする。
リドルは現時点でヨーロッパ諸国27か国で1万店舗を展開。Business Insiderが入手した資料によると、アメリカでは最終的に600店舗体制を目指している。
リドルはプレゼン資料で、自身をノースカロライナ州を本拠地とする食品スーパーであるトレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)とハリス・チーター(Harris Teeter)を合わせたような店舗だと説明した。
同じくドイツを拠点とするディスカウントストアのアルディー(Aldi)とリドルは海外で混同されがちだが、アメリカではアルディと差別化を図ろうとしている。
リドルは「調査の結果、米国の消費者は安売り食料品が好きではないことが明らかになった。リドルはアルディと違い、量よりも質を追求する店を目指す」としている。
リドルの店舗が建設されているメリーランド州の住民向け資料によると、店舗ではワインやコーヒーなど地元で生産された商品を中心に取り扱うという。
また、リドルの米国での店舗面積は、アルディーの店舗の約2倍の3万〜3万6000平方フィート(約2787~約3344平方メートル)になる見込みで、平均約7万7000平方フィート(約7153平方メートル)のクローガ—(Kroger)のような一般的なスーパーマーケットよりも小さい。
リドル米国本部は、バージニア州アーリントンに置かれ、メリーランド州セシル郡、ノースカロライナ州メバネ、バージニア州フレデリックスバーグに倉庫が建設されている。
リドルとアルディはこの数年、イギリスで急速に拡大し、大手を巻き込んで価格競争を引き起こした。
市場調査会社カンター・ワールドパネル(Kantar Worldpanel)によると、リドルとアルディの直近四半期の売上高はそれぞれ7.5%と12%増えた。
一方で、英国の4大スーパーマーケットチェーンの売上高は微増か減少した。テスコは1.3%、モリソンズは1.2%増加し、アスダとセインズベリーはそれぞれ2.4%、0.1%減少した。
リドルとアルディは、イギリスの4大スーパーマーケットチェーンから客を奪い、ここ数年で市場シェアを拡大しきた。
一般的なスーパーマーケットは1つの商品で複数のブランドを取り扱うが、リドルとアルディは、プライベートブランド中心の品揃えとすることで、価格を低く抑えている。
また、リドルの商品のほとんどは配送資材上に表示され、商品の補充が迅速に行えるようになっている。そのため、売り場のスタッフを減らすことができる。
顧客へはマイバックの持参を呼びかけ、コストを削減する。
食料品に加えて、リドルでは家電製品や家具も販売している。2014年8月に発売した女性服のコレクションは、15ポンド(約2100円)のフェイクレザージャケットやシフォンブラウスを取りそろえ、最初の3日間で完売した。
その後、同社は男性用コレクション、ハンドバッグのライン、フィットネスブランドを立ち上げた。
一方で、リドルのライバルのアルディーは米国で1600店舗以上を展開し、数年以内にさらに600店舗を増やそうとしている。リドルが追いつくにはさらなる努力が必要だ。
(翻訳:堀口)