Uber CEO トラビス・カラニック氏
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UberのCEOトラビス・カラニック(Travis Kalanick)は、Uberの元従業員である女性が勤務中にセクシャルハラスメントを受け、性的偏見にさらされたと自身のブログに書き込んだことを受けて、内部調査を開始した。
カラニックは全社に文書を送り、現在進行中の調査および次に進むべき段階、そして状況を理解するため21日の火曜日(現地時間)に従業員全員参加のミーティングを予定しているという。Uberの取締役アリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)は内部調査を手伝っており、全体ミーティングにも出席する。
またUberは、オバマ大統領の元で司法長官を務めたエリック・ホルダーを採用し、セクハラに対する申し立てに対し、再調査を行うとロイターが21日火曜日(現地時間)に伝えた。ホルダーとタミー・アルバラン(Tammy Albarran)は法律事務所コビントン&バーリングの共同経営者で、Uberのある特定のマネージャー(1人)に対する苦情に対し、審査を進めていく。
セクハラの告発は、カリフォルニア州を拠点とするタクシー会社Uberでエンジニアとして働いていたスーザン・ファウラー(Susan Fowler)によるもの。ファウラーは19日日曜日(現地時間)にブログの掲示板に「Uberで過ごしたとってもとっても奇妙な1年をふりかえって」という題名で書き込みをした。
スタンフォード大学のコンピュータ・サイエンスの学位を持つファウラーはこう述べている。
- 彼女のマネージャーは自分の恋人とオープン・リレーションシップで付き合っていた(オープン・リレーションシップ:決まった交際相手がいるが、それ以外の相手とセックスすることに対し、カップル間でお互い容認し合っている関係)。そのマネージャーから、自分に対してや、Uberの別の従業員女性に対して、性的な誘いが職場であった —— 。チームの一員として初めて出社した日に、その新しいマネージャーが社内チャットでいくつものメッセージを送ってきた。 彼は自分はオープン・リレーションシップで彼女と付き合っているのだが、自分の彼女はパートナーを探すのに苦労していないが、自分はそこまで簡単に相手を見つけられていないと言った。
- 人事にそのことを報告すると「これはまだ1回目だし、彼は業績が良いので今回の件を本人に咎めることはしない」と言われた —— 。「わたしが状況を報告すると、人事部および上層部から、これは明らかにセクハラであり、彼は明らかに性的な関係を従業員に求めた事実はあるけれども、彼に対するこういった申し立ては今回が初めてなので、口頭での厳重注意以外は、彼に対して何かをするのは難しいと言われた。
- 人事部は、彼女が以前にも別の申し立てをしており、今回が初めてではないという点について彼女に嘘をついた —— 。「人事部も上層部も今回の件は彼に対する最初の告発という点について嘘をついており、また最初でないどころか、最後にもなりえないことが明らかになった。
- Uberは120名を超える男性従業員に皮のジャケットを買ったが、6人の女性従業員には買わなかった —— 。ファウラーが自分たちの分の皮ジャケットはどこにあるのかとメールで尋ねたところ、その上司は「もし女性が本当に平等に扱われたいと思っているのなら、皮ジャケットをもらえないことで平等に扱われているということに気付くべきだ」と言った。また、「もし皮ジャケットが欲しいなら、女性の方で、男性用のジャケットを大量注文した際の1枚当たりの値段とまったく同じ値段の女性用皮ジャケットを探してほしい」と言われた。
- 人事部に対する報告をしたことでクビにするぞと脅された —— 。 「わたしはそれは違法だと伝えたが、彼は『自分は長い間マネージャーの職に着いているから、何が違法で何が違法じゃないかはわかっている、人事部に報告をしたわたしをクビにすると脅迫するのは違法には当たらない』」と言ってきた。
Business Insider はこの書き込みの中での主張に対する確証をまだ得られていない。
ブログが投稿されてから数時間後、カラニックは自身の考えをツイートし、ファウラーが描写している状況はなんとも忌々しく、我々の信念に反している、とした。
人事部のリーアンにいますぐ内部調査を進めるよう指示した。Uberのどこにも、こんな実態を許す環境があってはならない。
カラニックはその後もっと長い声明を発表し、Business Insider にもUberの広報担当からその内容が届いた。
「今スーザン・ファウラーのブログを読んだところだ。彼女が描写している状況は、なんとも忌々しく、我々の信念に反している。この件について自分が耳にしたのは今回が初めてであり、新人事部部長リーアン・ホーンジーに早急にこれらの申し立てについて審査を進めるよう指示した。我々はUberを正しいことのまかり通る職場にしたい。(ファウラーがブログで述べたようなマネージャーの)態度が許されるような環境がこの社内に絶対あってはならないと考えている。こういった態度をとる人間、こういった態度をとってもいいと思っている人間はクビだ」
ファウラーのブログ投稿のあと、元Googleのデザイナーで、Uberでも開発に携わっていたクリス・メッシーナ(Chris Messina)が、自身がUberにいた時も同様に「無神経で手助けがなかった」とツイートした。
本当に頭にくる。ひどい。Uberの人事部も同様に無神経で、何の手助けもしてくれなかった。スーザンの件なんて特に非難に値するでしょう??? https://t.co/eSiOuHSMjU
ハフィントンポストの創始者で、Uberの取締役でもあるアリアナ・ハフィントンは、ホーンジーと一緒に調査を進めていくとツイートした。
Uber代表のトラビスと今、話したところ。リーアンと共に完全に独立した機関として調査を進めていく。
下記は、ニューヨーク・タイムズのマイク・アイザックが20日月曜日に入手した「カラニックからUber従業員への『メッセージ』」だ。この中でカラニックは、Uberのエンジニアリング、商品管理と科学者のチームのうち女性は15.1%で、Google、 Twitter、 Facebookなどに比べて少し数値が低く、調査の結果からUberの社風をより良くすることが今は一番の優先事項だとした。
辛い24時間だった。会社はダメージを受けており、我々がどういったスタンスに立ってこれからどんな行動を起こしていくのか、もっと情報が欲しいとみんなが待っていたことは理解している。
まず、元司法長官でオバマ政権で勤めていたエリック・ホルダーと、彼のコビントン&バーリング法律事務所で共同経営者を務めるタミー・アルバランが、今回スーザン・ファウラーによって問題提起された職場環境についての詳細について、独立した審査を行うと共に、より大きな意味でUber内の多様性と包括性についても審査を進めていく。上記の両者に加え、取締役会役員のアリアナ・ハフィントンと最近、Uberが採用した人事部部長のリーアン・ホーンジー、総務のアンジェラ・パディが審査に参加する。できるだけ短期間で審査を終わらせるつもりだ。
次に、アリアナはわたしおよびリーアンと合流し、明日の全従業員参加のミーティングで次に何が行われるべきかについて話し合う。また、アリアナとリーアンはもっと小規模のグループあるいは個人と面談をし、直接意見を聞かせてもらう場を持つ。
最後に、当社の技術部門においては男女の多様性について多くの疑問がある。我々の技術部、商品管理、科学者の部門をみてみると全体の15.1%が女性で、これは昨年1年間、実質的に変わっていない。参考までにFacebookは17%、 Googleは18%、 Twitterは10%である。リーアンとわたしはこれからの数カ月の間に、より多様性に富んだ人事についての報告書を届けられるようにする。
何をやるについても、深い正義感が下地にある職場作りを信じている。長い間に我々が一緒に作り上げていくUberの社風というのは、従業員1人ひとりが誇りに思えるものでなければならない。今自分を動かしているのは、今回起きたことを過去が作り出した傷を癒すための1つの機会だと捉え、職場における正しさに則った新しい基準を設けることにつなげていくという、確固たる信念だ。不公平を経験した者を支援し、そのために戦うより良い組織となること。それが、今、わたしがもっとも優先すべきことである」
ファウラーは現在、支払い代行会社Stripeに勤務している。
Business Insiderにファウラーからのコメントはない。
(敬称略)
source:Twitter
[原題:Uber has hired ex-US attorney general Eric Holder to review sexual harassment claims]
(翻訳:日山加奈子)