テスラの“配車サービス”はあり得るのか?

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The Tesla Model 3.

YouTube/Motor Trend

テスラが最高の電気自動車メーカーとして歴史に名を刻むことは間違いない。しかし、ここ数年、業界におけるその威光は、次の大きな波、つまりUberやLyftなどの配車サービスの登場によって脅かされている。

もし、5年以内に自動運転車が実用化したら、テスラには困難な状況となるだろう。Uberの6000万ドル(約68億円)超の資産価値はさらに跳ね上がり(ドライバーが不要になれば、さらに利益が増える)、テスラが追いつくのは難しい。

テスラはもちろん、自社の「オートパイロット」機能を向上させるし、同社のオートパイロットは現在、わたしたちが実際に購入し、使用できる準自動運転システムとしては最先端のものだ。また、テスラの車両は「レベル4(完全自動運転)」に必要なハードウェアを装備している。テスラは自動運転の分野で先頭を走り、実績を積んできた。同社は、この分野ですでに確固たる地位を確保している。

しかし、テスラは同時に「テスラ・ネットワーク」と名付けたシステムで、配車サービス分野への進出を狙っている。同社CEO イーロン・マスク氏によれば、テスラのオーナーは自分が車を使わない時に「収益」をあげられるようになる。

投資サイトSeeking Alhaに、同社への投資家の1人は興味深い投稿を行った。テスラは、オーナがテスラ・ネットワークから得られる利益に制限を設けていると言うのだ。収入はすべてオーナーに行くのではなく、テスラがその一部を得るよう設定されている。

一方で、Airbnbのような企業の登場によって、一般の人々が住まいを旅行者に貸し、収入を得る動きなど、いわゆる「シェア経済」が活発化している。

わたしのテスラに触るな!

だが、テスラの目論見には大きな壁がある。テスラのオーナーが自分の車をシェアしたがるのか? という点だ。

テスラに平均10万ドル(約1100万円)を費やしているオーナーの答えは「NO」に違いない。予定販売価格3万5000ドル(約400万円)のモデル3が登場しても状況が変わるとは思えない。まず、価格自体が3万5000ドルでは済まないだろうし、車をシェアすることはそもそもリスクがある。リスクが大き過ぎる。

Airbnbのオーナーなら無作法で乱暴な宿泊客によって被害を受けた経験があるだろうが、部屋がすべて壊されることはない。だが、テスラは違う。

カーシェアリングには4万ドル(約450万円)以上のコストがかかる。シェアによっていくらかの収入があるとしても、それ以外の時はただ自宅に置いてあるだけだ。いつ入るかわからない予定を調整する必要もあるし、走行距離が増えるという問題もある。テスラはほかの中古車に比べると相場が高いが、だとしても、買い替えまで可能な限りきれいに使って価値を維持したいのが車のオーナーなのだ。

走行距離が増えたら、収入があったとしても、そうはいかない。

そもそも「他人に貸したくない」という要素もある。2016年、モデル3が発表されると、37万3000人もの人が1000ドル(約11万円)を払って予約した。それから2年以上も待ち続けてようやく手にした愛車を、他人に貸す気になるだろうか?

マスク氏とそのチームは「テスラ・ネットワーク」を明らかに経済的な観点から考えている。だが、オーナーの気持ちをもっと考えた方がいい。テスラはフェラーリのように憧れをかきたてる車なのだから。

モデル3の登場は状況を大きく変えるに違いない。だが、実際どうなるかはわからない。

※この記事は筆者の考えに基づくものです。

[原文:A Tesla ride-hailing service will face some serious challenges(TSLA)

(翻訳:十河亜矢子)

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